2000年の節目には、果たして景気に確かな回復が出てくるのでしょうか。
以下では、日本経済とあわせて、広島県経済について新年の見通しを占ってみたいと思います。
1 日本経済の見通し
日本経済は、昨年春を底にひとまず持ち直してきました。このため、99年度にはGDP(国内総生産)成長率が0.6%(政府見込み)と、僅かながら3年ぶりにプラスとなりそうです。
ただ、プラス成長とはいえ、その中身は経済対策の力で達成できた「上げ底景気」との見方もあります。

さて、2000年の景気ですが、残念ながら大きな伸びは期待できないと思います。私どもの研究所では、成長率をほぼ前年並の0.5%程度と見ています。
その理由は、次のように景気に下押し材料があり、これに対抗する押し上げ材料のパワーが不足しているからです。
□景気の下押し材料
@中堅・中小企業の業績低迷
現状では、大企業の業績はリストラの進展からやや上向き加減です。半面、約44百万人もの雇用を抱える中堅・中小企業の業績は、消費の伸び悩み等の影響を強く受け、低迷を脱し切れないと考えます。

こうした中堅・中小企業の業績低迷は、雇用の立ち直りを遅らせ、ひいては消費に悪影響を及ぼす恐れがあります。
A経済対策の効果の弱まり
これまで政府は巨額の経済対策を繰り返し、さらに昨年には総額約18兆円もの対策を追加しました。しかしながら、対策の効果は、対策後でも公共投資の額がほぼ前年並みにとどまることから、限定的と見られています。また、年度途中で追加対策を行うとしても、財政悪化が制約になるでしょう。

□景気の押し上げ材料
@輸出の持ち直し
輸出は、米国の好調持続、アジア・欧州の回復など海外景気の拡大を受けて、持ち直しつつあります。これが大企業の業績回復を助けることになるでしょう。

A設備投資の下げ止まり
当分、パソコン導入などの情報化投資が活発になるため、これにより設備投資全体がほぼ下げ止まるとの見方が出ています。

2 広島県経済の見通し
昨年の県経済は、やっと底を脱したのですが、停滞感が残る動きにとどまりました。

これは次のように製造業の回復がおぼつかないうえ、非製造業が低迷を脱しきれていないためです。
○製造業
鉄鋼など一部はアジア向け輸出の回復等から上向いたものの、自動車など多くの業種で減産が続きました。また、高操業の造船は、韓国等との競合から受注が急減しました。
○非製造業
建設業は、住宅着工の増加により多少潤いましたが、消費の節約傾向等を反映し卸・小売は低迷し続けました。

これらを踏まえ、新年の県経済を展望すると、次の動きに注目する必要がありそうです。
(1)円高の影響
現状の対ドル相場は、103円前半と円高気味の水準です。この水準が続くと、広島県には輸出産業が多いだけに、円高のマイナス効果が懸念されます。
(2)大企業のリストラの動き
県内出先工場は、地元にたくさんの雇用や関連メーカーを抱えています。これらの工場がリストラに向かうと大きな影響がありそうです。
(3)新分野開拓への動き
今、全国的にはインターネットなど情報通信での事業分野が発展しつつあります。この分野での新規操業を当県でも官民あげて強力に後押しすべきとの声が高まっています。
こうしてみると、新年の県経済はせいぜい全国同様の弱い回復にとどまるのではないでしょうか。
もっとも、個々の企業にとっては、4月の介護保険スタートなどを捉え、新規ビジネスへ出るチャンスは大いにあります。地元企業のバイタリティは県経済の復活を早めること間違いなしです。
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