先日iPhone5が発売になり、店先には朝早くから人々が列をなし話題をさらいました。 iPhoneといえば、惜しまれつつ亡くなったスティーブ・ジョブズの伝説のプレゼンテーションを思い出し、またもう一度見たいと思われる方もおられると思います。私自身もジョブズのプレゼンテーションを見て感動し、こんなに魅力的で惹きつけられるプレゼンを自分もしてみたいと思ったひとりです。
では人を惹きつけ、納得し、心動かされるプレゼンテーションとはどのようなものなのか、著者ナンシー・デュアルテが、そのフォームを解明しチャート化して分析しています。このチャートを「スパークライン」として、歴史に残るプレゼンテーションを分析し、スティーブ・ジョブズの2007年iPhone初披露の際のプレゼンや、物理学者のリチャード・ファインマンの引力についての講義など16のケースを紹介しています。
この分析で面白いのは、現在の姿と未来の姿でギャップを際立たせて、プレゼンのあとでいつまでも聴衆の記憶に残る何か「STARの瞬間」(Something they'll Always Remember)が重要だとしています。たとえばジョブズのプレゼンでは、手にした茶封筒からMacBook Airを取り出してみせ、世界で最も薄いノートパソコンだと印象づけた瞬間に、聴衆はその圧倒的なメッセージを受け取りました。つまり心を動かすプレゼンテーションは、聴衆を知り、情報と物語を組み込み、コントラストを強調することで、飽きさせず最強のインスピレーションを与えるというのです。
著者はデュアルテ・デザインのCEOであり、20年以上にわたってプレゼンテーションの製作・デザインを専門にし、クライアントにはフェイスブック、マイクロソフト、グーグル、アル・ゴア氏など数々のオピニオンリーダーたちが名を連ねています。プレゼンテーションは世界を変える力があるとし、アイデアをうまく伝えることができれば、あなたは世界を変える力を持てると提言しています。
みなさんもこの本を読んで、主役である聴衆を研究し、スライドから抜け出して「さあ世界を変えよう」と意気込んで、プレゼンテーションをしてみられてはいかがでしょうか。 |
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