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広島市産業振興センターNEWS
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    第7回 「燃料電池車の未来」

 技術振興部長の國司(くにし)です。今年も残すところあと半月となりましたが、来年もよろしくお願いいたします。
 さて、第43回東京モーターショー2013が12月1日(日)に閉幕しました。今回のテーマ「世界にまだない未来を競え。」"Compete! And shape a new future."を意識した魅力的な車で会場は埋め尽くされていたようですが、国内自動車メーカー各社の主な出展内容は下表のとおりでした。マツダ「新型アクセラ」も好調な滑り出しを見せていますが、今回は2015年の市場本格導入が現実味を帯び、究極のエコカーとして注目を浴びている燃料電池車(FCV:Fuel Cell Viecle)に的を絞って話を進めたいと思います。

メーカー主な出展内容
 マツダ 11月21日に発売されたアクセラ
 トヨタ自動車 次世代燃料電池車(FCV)のコンセプト車
 日産自動車 次世代電気自動車(EV)のコンセプト車
 ホンダ 次世代スポーツカーのコンセプト車
 三菱自動車 プラグインハイブリッドのスポーツ用多目的車のコンセプト車
 富士重工業 2014年発売予定の新型ツーリングワゴン
 スズキ 年内発売予定の小型スポーツ用多目的車
 ダイハツ工業 ボディーを着せ替えできる軽スポーツカー


 燃料電池車(FCV)がなぜ究極のエコカーなのかと言いますと、モーターで動くことは、電気自動車(EV:Electrical Vehicle)と同じですが、車両に搭載された燃料電池*1で生み出された電気を動力源とすることにより、化石燃料の代わりに水素を燃料として使い、排ガス(CO2,NOx,SOX,PM)の代わりに水のみが排出されるところによります。ただ、究極のエコカーとして期待される反面、本格的に普及するためには課題が多いのも事実です。主な課題として以下の2つが挙げられています。

(1) 燃料電池システムが高価
(2) 水素を補給するためのインフラ(水素ステーション)が不足

 (1)の課題については、2015年時点での車両販売価格は500万円台とされる見込みであり、高級ガソリン車と同等までコスト改善が進めば、普及の支障にはならないと思います。
 (2)の課題については、政府が水素ステーションの建設費を補助し、2015年度には100カ所、2025年度には1,000カ所に増やす計画ですが、現状のガソリンスタンドの数を考えても、この程度の整備では、普及を促すに十分な数とは言えず、この課題を水素価格の低減も含めて抜本的に解決しなければ本格的な普及の実現性は乏しいものと思います。
 しかし、水素は再生可能エネルギーの活用を含めた二次エネルギー*2として有望であり、政府が水素ビジネスをエネルギーセキュリティー等に資する成長産業として育成していくのであれば、意外にインフラの整備が進み、普及が加速化していく可能性はあります。
 ハイブリッド車も量産化から10年余りで販売台数が首位に上り詰めたことを考えれば、インフラ、法規制の改正、優遇税制等の環境さえ整えば、2030年度には販売台数で首位になっている可能性もあながち否定できないと思います。

 では次に、燃料電池車(FCV)の普及が中小企業へもたらす影響について述べたいと思います。燃料電池自動車の重要部品としては以下のものが挙げられます。

・パワーコントロールユニット(PCU)
燃料電池車(FCV)の構造
燃料電池車(FCV)の構造

 燃料電池で発生した直流をモーター駆動用の交流に変換するインバーターと、バッテリーとの電気を出し入れするDC/DCコンバーター等で構成されています。再生可能エネルギーの活用にあたっても欠かすことのできない部品です。
・燃料スタック(燃料電池)
・モーター
・バッテリー
・高圧水素タンク(燃料タンク)


 ガソリン車等の従来車の構成部品とは明らかに異なり、エンジン部品など従来車の機械要素の強い部品を製造していた中小企業にとっては未知の領域と言っても過言ではないと思います。ただ、現実的な見方として、今後10~20年のうちに燃料電池車(FCV)が一定のシェアを獲得したとしても、従来車の需要が大きく減少する可能性は低く、従来車の中小部品企業にとって燃料電池車(FCV)への対応の遅れが現時点では大きな問題にはならないと思います。

 燃料電池車(FCV)等の次世代自動車の現実的な見通しについては、不透明なところは否めませんが、国内の自動車需要が縮小傾向にあることはまぎれのない事実であり、政府の積極的な支援等により燃料電池車(FCV)が主流となれば、エンジン部品等については需要が激減します。こういったシナリオが現実的なものとなった場合、従来車の中小部品企業は生き残るために、タイミングを見計らって、次世代自動車に対応した技術・製品を手がけるか、既存の技術を基に従来車の市場を求めて海外進出していく必要があります。そのタイミングを見極めるためにも市場や技術の動向に注意を払っていくことは重要との思いから、燃料電池車(FCV)の動向について簡単に触れてみましたが、少しは参考になりましたでしょうか。

 最後に、再生可能エネルギーの活用と次世代自動車の動向やその対応に必要な電気系の知識やスキルを身につけていただけるような研修の企画をしているところです。詳細が決まり次第お知らせしますので、期待してお待ちいただければと思います。


*1 燃料電池は、水素と酸素の化学反応を利用して電気をつくる発電装置です。水素をマイナス極、空気をプラス極にそれぞれ供給することにより、電気を発生させます。

*2 二次エネルギーとは、石油等の化石燃料、原子燃料、太陽光等の再生可能エネルギーといった一次エネルギーを加工した電気、都市ガス、水素等を指します。


◆問い合わせ先  技術振興部(広島市工業技術センター内)
   TEL 082-242-4170(代表)   E-mail  kougi@itc.city.hiroshima.jp

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