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中央図書館からのおすすめ本(70)
    「本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事」

 毎月、中央図書館が推薦するビジネス支援情報の図書をご紹介しています。
 なお、これまでに紹介した本については、当財団のホームページに「中央図書館からのおすすめビジネス図書」として公開しておりますので、いつでも見ることができます。


本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事

「本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事」

    高瀬 毅/著

    (文藝春秋 2013年1月15日発行)


 「本を自在に操る男」幅允孝(はば よしたか)、36歳、職業はブックディレクター。「本棚の編集者」で「本を本棚に並べるとき、ある意図を持って本を並べ、本棚全体を通して、見る者に、メッセージや世界観のようなものを感じさせる仕事」とある。彼の手にかかると「本棚が、がぜん輝きだす」らしい。いったいどんな仕事なのだろうか。
 表紙に、幅氏が本を並べている写真がある。棚に並んでいるのは本だけでなくコーヒーやジャムのようなものも見える。表紙をめくると少しアップの写真があり、決して美しいとは言えない字で「女の生き様」「恋と愛の話」「不条理!」などとテーマらしき言葉が書かれ、小説、実用書、写真集、文庫、マンガ...と種々雑多な本が縦横無尽に並んでいる。

 彼が注目されるようになったのは、2003年の「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」のブックカフェの本棚づくりからで、その後、病院や美容院、セレクトショップ、ホテルや銀行のロビー、大学、企業の研修施設や受付と数々の本棚を編集している。その目的も、商品とのコラボレーションであったり、企業のコンセプトを代弁したり、よりよい生活への提案だったりと多種多様である。しかしながら彼は、依頼者への細かいインタビューと、使う人や設置場所の周辺を細かくリサーチし、そこからテーマや顧客をつかんで選書し、関連させて並べていく。これが彼のビジネスであり、誰でも手に取れる本に、幅氏にしかできない選書と編集という付加価値をつけたのである。

 幅氏がどのように本棚を編集してきたかいくつか紹介してある。その中でも、大阪府箕面市にある千里リハビリテーション病院のエピソードが興味深い。ライブラリーの設置は、同病院の院長が、脳卒中患者がリハビリをする際、「家で生活しているイメージが湧きやすい環境でこそ効果的なリハビリができる」と考え、彼に依頼した。最初、幅氏は入院患者が読むのだからじっくり読める本が必要と考えたが、患者の声は「読む気にならへん」であった。彼は医師や患者に話しかけ、観察を続けた。すると患者は意外にも、詩集、少し昔の大阪や阪神タイガースの写真集、ぬり絵絵本に興味を示したのだ。気に入った詩を動かしにくくなった手で書き写し、写真集を見て思い出を語り、ただページをめくる。それは、本が読書という枠を超えてリハビリの機能を持ち、さらには患者に回復への希望を持たせた、まさに、幅氏の選んだ本が輝きを放った瞬間だった。

 実は広島にも彼が手がけた本棚がある。冊数は多くないものの、結婚式場ということからゴッホやニーチェ、サン・テグジュペリが言った愛の格言で選ばれた本が並んでいる。さて、どんな本棚なのだろうか。
 「付加価値」にはビジネスを大きく動かす可能性がありそうだ。ぜひ読んでみてください。
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本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事

「本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事」

    高瀬 毅/著

    (文藝春秋 2013年1月15日発行)


 「本を自在に操る男」幅允孝(はば よしたか)、36歳、職業はブックディレクター。「本棚の編集者」で「本を本棚に並べるとき、ある意図を持って本を並べ、本棚全体を通して、見る者に、メッセージや世界観のようなものを感じさせる仕事」とある。彼の手にかかると「本棚が、がぜん輝きだす」らしい。いったいどんな仕事なのだろうか。
 表紙に、幅氏が本を並べている写真がある。棚に並んでいるのは本だけでなくコーヒーやジャムのようなものも見える。表紙をめくると少しアップの写真があり、決して美しいとは言えない字で「女の生き様」「恋と愛の話」「不条理!」などとテーマらしき言葉が書かれ、小説、実用書、写真集、文庫、マンガ...と種々雑多な本が縦横無尽に並んでいる。

 彼が注目されるようになったのは、2003年の「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」のブックカフェの本棚づくりからで、その後、病院や美容院、セレクトショップ、ホテルや銀行のロビー、大学、企業の研修施設や受付と数々の本棚を編集している。その目的も、商品とのコラボレーションであったり、企業のコンセプトを代弁したり、よりよい生活への提案だったりと多種多様である。しかしながら彼は、依頼者への細かいインタビューと、使う人や設置場所の周辺を細かくリサーチし、そこからテーマや顧客をつかんで選書し、関連させて並べていく。これが彼のビジネスであり、誰でも手に取れる本に、幅氏にしかできない選書と編集という付加価値をつけたのである。

 幅氏がどのように本棚を編集してきたかいくつか紹介してある。その中でも、大阪府箕面市にある千里リハビリテーション病院のエピソードが興味深い。ライブラリーの設置は、同病院の院長が、脳卒中患者がリハビリをする際、「家で生活しているイメージが湧きやすい環境でこそ効果的なリハビリができる」と考え、彼に依頼した。最初、幅氏は入院患者が読むのだからじっくり読める本が必要と考えたが、患者の声は「読む気にならへん」であった。彼は医師や患者に話しかけ、観察を続けた。すると患者は意外にも、詩集、少し昔の大阪や阪神タイガースの写真集、ぬり絵絵本に興味を示したのだ。気に入った詩を動かしにくくなった手で書き写し、写真集を見て思い出を語り、ただページをめくる。それは、本が読書という枠を超えてリハビリの機能を持ち、さらには患者に回復への希望を持たせた、まさに、幅氏の選んだ本が輝きを放った瞬間だった。

 実は広島にも彼が手がけた本棚がある。冊数は多くないものの、結婚式場ということからゴッホやニーチェ、サン・テグジュペリが言った愛の格言で選ばれた本が並んでいる。さて、どんな本棚なのだろうか。
 「付加価値」にはビジネスを大きく動かす可能性がありそうだ。ぜひ読んでみてください。
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