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技術情報の提供

広島市産業振興センターNEWS 第146号(2014.7.15)

広島市産業振興センターNEWS

技術情報の提供 (技術振興部 材料・加工技術室)

   「ステンレス鋼の成分分析について」


 ステンレス鋼=「Stainless Steel」は「Stain=錆び・汚れ」、「less=ない」、「Steel=鋼材」という意味からなっており、錆びにくい鋼材として広く知られ、流し台や包丁や鍋などに使われています。

 なぜ、ステンレス鋼は錆びにくいのかを下の図で説明します。

 鉄に、お酢などの酸化性物質が付着すると、付着部の鉄が酸化され、酸化鉄(=錆び)が生成します。

酸化鉄(=錆び)が生成される仕組み

 ステンレス鋼の主成分(80%)は鉄ですが、そこにクロム(Cr)が12%以上配合されているため、クロムが最初に酸素などの酸化性物質に触れることで表面に酸化クロムという膜をつくります。これは、不動態皮膜といわれるもので、数μm以下しかなく、目に見えないほど薄いものですが、非常に硬く、反応性がほとんどないため酸化を防いでくれるのでステンレス鋼は錆びません。不動態皮膜は非常に薄いので、割れたり、傷ついたりしますが、自己修復能力をもっており、割れたり傷ついた部分の母材のクロムが再び酸化されて不動態皮膜をつくってくれます。 

 そのため、流し台のステンレスなどは日ごろ水拭きをする程度でいつも錆びずにピカピカでいてくれています。また、ニッケルやモリブデンが加えられることでその自己修復能力が増します。

不動態皮膜

 また、ステンレス鋼の種類は、板材だけでも日本工業規格(JIS)には60種以上もあります。この約60種のステンレス鋼を大きく分類すると、金属組織の名称で3つに分けられ、それぞれに次のような特徴があります。

オーステナイト系

 

 

 ・非磁性で磁石につかない。

 ・ニッケルを8~15%含む。

 ・最も種類が多く、あらゆる使用に対応した鋼種が開発されていて消費量も多い。

フェライト系

 

 

 ・磁性があり磁石につく。

 ・ニッケルを含まない。

 ・オーステナイト系と比べると耐腐食性に劣る。

 ・オーステナイト系の弱点である塩化物応力腐食割れが生じにくい。

マルテンサイト系

 

 

 ・磁性があり磁石につく。

 ・ニッケルを含まない。

 ・焼き入れをすると硬い組織であるマルテンサイト組織になる。

 

 これらの特徴の中で、磁石につかないのはオーステナイト系だけなので、磁石がつくかどうかで流通途中や製造現場で確認が行われることがあります。

 そのため、当センターに寄せられる相談の中に「オーステナイト系ステンレス鋼SUS304を購入し、磁石がつかないことも確認しているが、錆びがひどいのはどうしてか?」というものが毎年あります。

 そういった材料の成分分析を行うと、ニッケルが検出されず、マンガンが規格値を大きく超えた約10~20%であったということがよくあります。おそらく、ニッケルは高価な金属なので添加しなかったことが予想されます。通常ニッケルが添加されていなければ、磁石についてしまいます。実は、マンガンを10~20%添加することで、磁石につかなくなります。しかし、マンガンには錆びることを抑制する効果はなく、この鋼は錆びてしまいます。

 このような事例は、海外からの輸入品によく見受けられますので、トラブルを未然に防ぐために、入荷時など事前に検査をされることをお勧めします。

 また、当センターでは、このような場合の検査には、蛍光X線分析装置を用い、比較的簡易に短時間で成分分析を行っています。この装置は、装置に入る大きさであれば大体の場合、試料を非破壊で検査できますので製品をそのまま返却することができます。詳しくは下記の問合せ先までご相談ください。

【蛍光X線分析装置】

蛍光X線分析装置

【試験手数料】

 分析試験 3,300円(1試料につき)

■問い合わせ先
  技術振興部 材料・加工室 (広島市工業技術センター内) 
  TEL 082-242-4170(代表)

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