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中央図書館からのおすすめ本(100)
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毎月、中央図書館が推薦するビジネス支援情報の図書をご紹介しています。
なお、これまでに紹介した本については、当財団のホームページに「中央図書館からのおすすめビジネス図書」として公開しておりますので、いつでも見ることができます。
『サバへの愛を語り3685万円を集めた話』
右田 孝宣/著
(日経BP社 2016年7月12日発行)
「クラウドファンディング」という言葉をご存知ですか? 最近では、本や雑誌などで目にすることも多くなりました。辞書(デジタル大辞泉 小学館)を調べると「プロジェクトのための資金を調達できない個人・団体が、ソーシャルメディアをはじめインターネット上で企画内容と必要な金額を提示し、広く支援を呼びかける手法。少額の資金提供者を多く集めることによって、目標額の達成をねらうもの。(略)」とあります。
著者の右田孝宣(みぎた たかのぶ)は1974年、大阪生まれ。高校卒業後の鮮魚店勤務に始まり、オーストラリアでの回転寿司店勤務を経て、帰国後居酒屋を開業しました。店の人気メニューである「サバ寿司」の販売をきっかけに、2016年5月までに、デパートの食品売場で販売する「鯖や」を3店、とろさば料理専門店「SABAR」を11店まで展開させました。
彼が「SABAR」を開業する際、資金調達で活用したのがクラウドファンディングです。とことんサバにこだわりPRして集めた資金は3,685万円。そして2016年からは新事業で、サバの稚魚を蓄養して大きく育てる「クラウド漁業」(クラウドファンディングで調達した資金で、魚を蓄養する新しいビジネスモデル)の立ち上げ資金として1億1,380万円を調達しようとしています。
必要な資金を、金融機関からの借り入れではなく、クラウドファンディングで調達することを選ぶのはなぜでしょう。右田氏はその理由として、①応援してくれるファンの獲得、②事業開始前のマーケティング、③メディアへのPR効果、④返済不要で経営に余裕、⑤実績や知名度は関係ない、⑥異業種との新しい事業の可能性 を挙げています。
この本に、倒産の危機を乗り越えて成功に至った彼がどのようにして資金を集めたか、実践したPR、販売促進、ブランディングなど、そのノウハウが詳しく書かれています。
起業や事業拡大を、また、夢を叶えたいと考えている方にとって、資金調達は大きな問題として立ちはだかります。新たな資金集めの方法として話題になっているクラウドファンディングについて、理解の深まる1冊です。