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中央図書館からのおすすめ本(130)『冒険起業家 ゾウのウンチが世界を変える。』 |
毎月、中央図書館が推薦するビジネス支援情報の図書をご紹介しています。
なお、これまでに紹介した本については、当財団のホームページに「中央図書館からのおすすめビジネス図書」として公開しておりますので、いつでも見ることができます。
植田 紘栄志(ひさし)/著
株式会社ミチコーポレーション ぞうさん出版事業部 (2018年10月発行)
この本は、東京で偶然出会ったスリランカ人に1万円を貸したことをきっかけに、内戦が続くスリランカの国を巻き込んだ事業に挑んだパワーに満ちた起業家の実話です。
著者は当初、魚市場で働いてお金を貯めながら、中古機械の輸出ブローカーの会社を経営していましたが、スリランカ初のペットボトルリサイクル工場『ミチランカ』を創業します。そして様々なトラブルが起こるなかで、赤字続きのペットボトルのリサイクル工場の生き残りをかけて、紅茶ビジネス、宝石ビジネス、高級食材のフカヒレビジネスなど事業に挑戦しては失敗し、ぎりぎりの状況に追い込まれていきます。
しかし、工場が野良ゾウの襲撃に合ったことから、ゾウと人間の共存を考えるようになります。そこでゾウの糞でできた紙に、「ぞうさんペーパー」と名付け、起死回生を図ります。「ぞうさんペーパー」の工場をつくり、画用紙やノートやカードなど手作り文具を生産し、日本で積極的に営業活動を行い、ついには「ハンズ大賞」に選ばれるまでになりました。やっと軌道にのったところで発生した、ゾウの糞がワシントン条約に抵触するという問題も、諦めず自分の力で打開していきます。
また、著者は、田舎町で仕事がないことで、若者の多くが兵役を志願して命を落としてしまう厳しいスリランカの現実に直面し、スリランカの若者を一人でも多く雇用できる事業をめざすようになります。スマトラ島沖巨大地震や東日本大震災、そしてビジネスパートナーの死という次々と襲う苦難を乗り越えつつ、家族のことを守りたいという思いがつのり、祖父母が住んでいた限界集落への移住を考え始めます。
現在は、過疎の進む田舎町広島県山県郡北広島町に移住し、「ぞうさんペーパー」を作って販売しながら、「芸北ゾウさんカフェ」を経営し、変わらずリスクを恐れず新たなビジネスに挑戦し続けています。驚きと笑いや涙ありの元気が出る一冊です。