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広島市中小企業支援センター > メールマガジン > 2019年度 > (103)【マーケティング発想転換】生活者視点から考える事業の"そもそも"(第3回)

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経営者のお役立ち情報「メルマガ誌上セミナー」(103

【マーケティング発想転換】

生活者視点から考える事業の"そもそも"(第3回)


 中小企業の経営者が抱える経営課題について、専門家の方にわかりやすく解説していただいています。

 なお、このセミナーのバックナンバーは「Webセミナー」で公開しています。

赤松 範麿 氏

イノベーションで陥りがちな発想

「技術革新ではなく生活革新へ」

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

"イノベーション"という言葉を、どこでも目にするようになりました。
多くの企業がイノベーションを掲げ、イノベーション推進室やニュービジネス推進部などの組織を編成しました。中期計画などで謳っている企業も数多くあります。

 

そんなイノベーションブームの中、"イノベーション担当"になられた方からのご相談を受けることが多くあります。そのほとんどは、「常識を超える新しいことをやれ!と言われるけれど、これがイノベーションである!と言えるようなアイデアが思い浮かばず、何をしたら良いのかわからない」というものです。中には、「これまでとは全く違うものを出さないといけないと思い、自分なりに革新的な提案をしたら、非常識すぎる!と怒られた」というお声もありました。

 

イノベーションは正解のない世界です。その中で、これが答えだ!と言うにはどうしたらよいのでしょうか?正解がない時には、これが正解であると信じられる根拠を見つける必要があります。

 

例えば、トロフィーで考えてみましょう。成長市場とはいえないトロフィー市場。トロフィーをつくる企業Aにおいても革新が強く求められています。
仮に、次の中から選ぶとしたら、どれが最も革新的なアイデアでしょうか?
 1.燃やせるトロフィー
 2.食べられるトロフィー
 3.折りたためるトロフィー
 4.食器になるトロフィー
 5.貯金箱になるトロフィー
 6.カラフルなトロフィー
この質問を多くの人にしたところ、2,3,4と答える人の数が圧倒的でした。

 

あるトロフィー会社の実際の事例をご紹介します。
市場が縮小している理由として、企業の運動会やゴルフコンペなどのイベントが減ったこともありますが、トロフィーそのものがあまり喜ばれなくなってきたのではないか?という議論になりました。
理由として、トロフィーは、「権威が褒めてつかわす」ものの象徴であり、「末は博士か大臣か」という言葉も聞かれなくなってきた昨今、権威に褒められることの価値が下がってきたのではないか?という分析でした。(もちろん、スポーツなどの競技においては、結果に応じて順位がつけられ、表彰されるものであり、そこに価値もあるものだと考えます。)

 

では、トロフィーはこのまま縮小し続けるのか?というと、その答えは否でした。
何故ならば、権威からの表彰でなくとも、すごく頑張った人や、良いことをした人をほめることはなくならないためです。
また、こんな意見も出ました。「誰かを褒める時、褒められる側だけでなく褒める側もとても嬉しいもの。相手の良いところを見つけられることは、人間にとって幸せな行為だ」。
それならば、トロフィーの本質は、褒める社会をつくることなのではないかと考えました。そこで、この企業のメッセージは、「ほめるをつくる」と打ち出しました。

 

このメッセージを象徴する商品として、金銀銅という序列を表すものだけでなく、色んなほめ方ができるように、カラフルなトロフィーシリーズができました。ほめ方が増えれば、トロフィーをあげる対象が増えます。そうなれば、需要も増えて、ビジネスにもつながります。
カラフルなトロフィーは、ともすれば、けなす社会になりがちな日本を、ほめる社会に変える一石となるかもしれません。社会が変わるならすごいイノベーションではないでしょうか?

 

常識を超えることを考えろ、というと、技術革新を発想しがちです。なぜなら、技術は機能・スペックと明確であり、その常識を変える発想は簡単だからです。
しかし、どんなに技術革新があっても、人は生活が幸せになることにしか、おカネを使いません。技術革新の前に、生活を革新することから発想してみてはいかがでしょうか。

 

 

■<講師プロフィール>

 

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

 

大手情報システム会社でシステムエンジニア、アーサー・アンダーセンでコンサルタントの経験を経て、2001年に株式会社博報堂に入社。

「そもそもデザイン推進体」を立ち上げ、クルマ/食品/飲料/化粧品/金融/アパレル/外食/ゼネコン/伝統工芸など、幅広い業界の事業戦略・ブランド戦略・新商品開発などに携わる。
2019年、「株式会社そもそも」を設立。博報堂時代に培った生活者発想の視点と、事業や商品のそもそもの価値を見える化する活動を継続しながら、その企業の存在意義を捉えた経営/事業/ブランド戦略・戦術の立案及び経営改善を行っている。

 

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【マーケティング発想転換】

生活者視点から考える事業の"そもそも"(第3回)


 中小企業の経営者が抱える経営課題について、専門家の方にわかりやすく解説していただいています。

 なお、このセミナーのバックナンバーは「Webセミナー」で公開しています。

赤松 範麿 氏

イノベーションで陥りがちな発想

「技術革新ではなく生活革新へ」

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

"イノベーション"という言葉を、どこでも目にするようになりました。
多くの企業がイノベーションを掲げ、イノベーション推進室やニュービジネス推進部などの組織を編成しました。中期計画などで謳っている企業も数多くあります。

 

そんなイノベーションブームの中、"イノベーション担当"になられた方からのご相談を受けることが多くあります。そのほとんどは、「常識を超える新しいことをやれ!と言われるけれど、これがイノベーションである!と言えるようなアイデアが思い浮かばず、何をしたら良いのかわからない」というものです。中には、「これまでとは全く違うものを出さないといけないと思い、自分なりに革新的な提案をしたら、非常識すぎる!と怒られた」というお声もありました。

 

イノベーションは正解のない世界です。その中で、これが答えだ!と言うにはどうしたらよいのでしょうか?正解がない時には、これが正解であると信じられる根拠を見つける必要があります。

 

例えば、トロフィーで考えてみましょう。成長市場とはいえないトロフィー市場。トロフィーをつくる企業Aにおいても革新が強く求められています。
仮に、次の中から選ぶとしたら、どれが最も革新的なアイデアでしょうか?
 1.燃やせるトロフィー
 2.食べられるトロフィー
 3.折りたためるトロフィー
 4.食器になるトロフィー
 5.貯金箱になるトロフィー
 6.カラフルなトロフィー
この質問を多くの人にしたところ、2,3,4と答える人の数が圧倒的でした。

 

あるトロフィー会社の実際の事例をご紹介します。
市場が縮小している理由として、企業の運動会やゴルフコンペなどのイベントが減ったこともありますが、トロフィーそのものがあまり喜ばれなくなってきたのではないか?という議論になりました。
理由として、トロフィーは、「権威が褒めてつかわす」ものの象徴であり、「末は博士か大臣か」という言葉も聞かれなくなってきた昨今、権威に褒められることの価値が下がってきたのではないか?という分析でした。(もちろん、スポーツなどの競技においては、結果に応じて順位がつけられ、表彰されるものであり、そこに価値もあるものだと考えます。)

 

では、トロフィーはこのまま縮小し続けるのか?というと、その答えは否でした。
何故ならば、権威からの表彰でなくとも、すごく頑張った人や、良いことをした人をほめることはなくならないためです。
また、こんな意見も出ました。「誰かを褒める時、褒められる側だけでなく褒める側もとても嬉しいもの。相手の良いところを見つけられることは、人間にとって幸せな行為だ」。
それならば、トロフィーの本質は、褒める社会をつくることなのではないかと考えました。そこで、この企業のメッセージは、「ほめるをつくる」と打ち出しました。

 

このメッセージを象徴する商品として、金銀銅という序列を表すものだけでなく、色んなほめ方ができるように、カラフルなトロフィーシリーズができました。ほめ方が増えれば、トロフィーをあげる対象が増えます。そうなれば、需要も増えて、ビジネスにもつながります。
カラフルなトロフィーは、ともすれば、けなす社会になりがちな日本を、ほめる社会に変える一石となるかもしれません。社会が変わるならすごいイノベーションではないでしょうか?

 

常識を超えることを考えろ、というと、技術革新を発想しがちです。なぜなら、技術は機能・スペックと明確であり、その常識を変える発想は簡単だからです。
しかし、どんなに技術革新があっても、人は生活が幸せになることにしか、おカネを使いません。技術革新の前に、生活を革新することから発想してみてはいかがでしょうか。

 

 

■<講師プロフィール>

 

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

 

大手情報システム会社でシステムエンジニア、アーサー・アンダーセンでコンサルタントの経験を経て、2001年に株式会社博報堂に入社。

「そもそもデザイン推進体」を立ち上げ、クルマ/食品/飲料/化粧品/金融/アパレル/外食/ゼネコン/伝統工芸など、幅広い業界の事業戦略・ブランド戦略・新商品開発などに携わる。
2019年、「株式会社そもそも」を設立。博報堂時代に培った生活者発想の視点と、事業や商品のそもそもの価値を見える化する活動を継続しながら、その企業の存在意義を捉えた経営/事業/ブランド戦略・戦術の立案及び経営改善を行っている。

 

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