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中央図書館からのおすすめ本(142)『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』 |
毎月、中央図書館が推薦するビジネス支援情報の図書をご紹介しています。
なお、これまでに紹介した本については、当財団のホームページに「中央図書館からのおすすめビジネス図書」として公開しておりますので、いつでも見ることができます。
小林 宙/著
家の光協会 (2019年9月発行)
タネがいつか消えてしまうかもしれないと、考えたことはありますか?
著者は、小林宙(そら)という高校生です。この本には、タネの話や、タネの流通・販売を手掛ける会社を起業したきっかけや、その事業の内容について書かれています。
今、「国内の優良品種が海外へ流出するのを防ぐため」という理由で、農家が自分で育てた作物からタネをとることについて、制限を強めようとする動きがあるそうです。小林さんは、遺伝子組み換え作物が普及したときのことを想定しているのではないかと考えています。
遺伝子組み換え品種のタネは、F1品種(雑種第一代品種)のタネと違い、二代目のタネも一代目の性質を失わず、他のタネと見分けがつきません。そのため、在来種を育ててきた農家が「うちの遺伝子組み換え品種との交配種を育てるのは権利の侵害だ」と企業から訴えられる事例が、世界でいくつも起きており、企業側が裁判で勝つこともあります。
こうして、在来種が駆逐される恐れがあり、日本や世界にもともとあったタネは、数が減っていくことが予想されています。
そこで小林さんは、めずらしい伝統野菜のタネ・消滅する可能性の高いタネを、全国から集めて販売する事業を立ち上げました。ごく小さな地域に留まっていてなくなりそうなタネの数々を取り寄せて、流通させることで保存していくことを目指しています。
タネの未来を深く考えて行動する姿に、胸が熱くなります。タネの重要性や置かれた現状について知り、誰かに伝えたくなります。