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技術情報の提供(材料技術室)

広島市産業振興センターNEWS

 技術情報の提供(材料技術室)

 『疲労試験について』


 自動車や機械装置を使用すると、これらを構成する部品の多くには、引張、圧縮、曲げなどのさまざまな外力が負荷されています。その外力の多くは、通常一回の負荷では変形すらしないような小さな力ばかりです。しかし、長い間使用していると、特に大きな力が加えられていないにもかかわらず、部品が壊れてしまうことがあります。これは、疲労破壊が原因である可能性があります。疲労破壊とは、小さな力でも繰り返し負荷されることで、部品が破壊に至る現象のことです。金属で発生する疲労破壊のことを「金属疲労」と言い、皆さんも聞いたことのある言葉かもしれません。もちろん、金属だけでなく、樹脂やセラミック材料でも疲労破壊は起こります。安全で耐久性のある装置を設計するためには、疲労は、考慮しなければならない重要な要素です。

 

 材料の疲労特性を調べる方法として、疲労試験があります。疲労試験は、試験体にある大きさの力を繰り返し負荷し(負荷と除荷を繰り返す)、破壊までに要した負荷の回数(以下、「繰り返し数」という。)を測定する試験です。もちろん、負荷する力を大きくすると、繰り返し数は小さくなります。また、負荷する力を変えて試験を行い、繰り返し数との関係を求めたものをS-N(Stress-Number)曲線と言い、材料の疲労特性を表すグラフとして活用されています。

図1 S-N曲線

図1 S-N曲線

 

 S-N曲線の例を図1に示します。図では、負荷する力について、単位面積当たりとし、応力で表しています。応力の減少に伴い、疲労破壊するまでの繰り返し数は多くなります。

 金属材料には、ある応力以下になると、疲労破壊しない材料があります。図1中に示す①(鉄鋼材料)に注目してみると、最初は、応力が減るにつれて、繰り返し数は大きくなっていきますが、途中から応力は、そのままで繰り返し数だけが増加していることが分かると思います。これは、この時負荷している応力では、何回繰り返しても破壊に至らないということを表しており、この応力値のことを「疲労限度」と言います。この応力値以下の力しか負荷されないように設計、製作することが出来れば、部品は、半永久的に壊れることが無いということになります。一方で、②(アルミニウム)を見てみると、応力の減少に伴い、繰り返し数は増加し続けています。つまり、前述の①(鉄鋼材料)で見られるような「疲労限度」がありません。これでは、設計する上での目安が無いことになりますので、「時間強度」という目安を使用します。例えば、1000万回(107回)使用しても壊れない時間強度のことを107時間強度と言います。慣例的には、107~108回程度の繰り返し数を示す応力を疲労限度として取り扱います。

 

 前述のように、材料の疲労限度(時間強度)を調査するにはS-N曲線が必要となります。このS-N曲線を得るためには、複数の試験片を用意し、様々な応力条件での疲労試験を行い、それぞれ疲労破壊したときの負荷の繰り返し数を記録して、両者の関係をグラフにプロットしていくことになります。

 

 当センターでは、引張圧縮型の疲労試験機(図2)及び小野式回転曲げ疲労試験機(図3)の負荷方式の異なる疲労試験機を所有しています。図2の疲労試験機で、引張力での疲労試験を行う場合、一秒あたり15回~25回の引張力を繰り返し負荷することができます。この場合、S-N曲線の1プロットとして、1000万回繰り返し負荷するためには、一週間程度必要となります。一方、図3の回転曲げ疲労試験機を使用した試験では、試験片の回転数が曲げ負荷の回数になりますので、一秒あたり60回の繰り返し負荷が可能です。引張力での疲労試験を行う場合に比べて、1/2~1/4程度の時間で1回の試験を完了することができ、1000万回繰り返し負荷するのに(S-N曲線の1プロット)、およそ2日間で試験が終了します。

 試験機には、それぞれ一長一短があります。図3の回転曲げ疲労試験機では、試験時間は短いものの指定の試験片形状でしか試験ができません。一方で、図2の引張圧縮型の疲労試験機では、丸棒や平板状の試験片、大小様々な試験片や実製品の疲労試験も行うことができます。

 各種、材料、製品の疲労特性を調べたいといった御要望がありましたら、まずは、お気軽に御相談ください。

 

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図2 引張圧縮型疲労試験機

 

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図3 小野式回転曲げ疲労試験機

 

■問合せ先

 工業技術センター 材料技術室

 TEL 082-242-4170(代表)

 E-mail:kougi@itc.city.hiroshima.jp

 


 

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