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技術情報の提供(材料技術室)

広島市産業振興センターNEWS

 技術情報の提供(材料技術室)

 「材質調査における元素分析について」


 工業技術センターでは、樹脂・ゴム製品等の工業製品の材質に関する依頼試験を行っており、材質調査を行うにあたり、製品や試験サンプルの元素組成を確認する場合がよくあります。

 今回は、工業製品において、建築用途(セメントやコンクリート、石膏ボード等)や鉄鋼の製造工程(鉄鉱石から不純物を取り除く)に使用され、樹脂、ゴム、紙、塗料等、多くの工業製品に配合されるなど、非常にポピュラーな元素である「カルシウム元素」を中心に、材質調査における元素分析について紹介します。 

 

【元素の種類と構成】

 地球上には100種類以上もの元素がありますが、その存在比率は偏っており、地球(地殻)では、酸素が約50%、ケイ素が約25%を占め、上位8元素で約98%になります。一方、人体等の生体では、酸素が約65%、炭素が約18%、水素が約10%を占め、上位6元素で約99%になります(図1参照、質量比)。

 その中で、どちらにもある程度比率が高い(上位4、5番目)元素として、カルシウムがあります。

図1 元素組成
図1 元素組成


【カルシウムの性質等について】

 カルシウムは、原子番号20、原子量40、元素記号がCaで表される、アルカリ土類金属です。アルカリ土類金属としては、他に、ストロンチウム(元素記号:Sr)やバリウム(元素記号:Ba)等もあり、特徴的な性質(単体は金属だが不安定で酸化されやすく、自然界ではほぼ酸化物として存在している等)がよく似ています。

 地殻においては、岩石の構成元素のひとつであり、代表的なものとしては、石灰石(酸化カルシウム)や大理石(炭酸カルシウム)があり、他にもさまざまな岩石の構成元素として広く存在しています。

 生体においては、骨や歯(リン酸カルシウム)、貝殻(炭酸カルシウム)、他にも食品では乳製品、大豆、海藻類等に多く存在することが知られています。

 

【試験機器の紹介と分析事例】

図2 蛍光X線分析装置
図2 蛍光X線分析装置

 材質調査に当たり、当センターにある、元素を分析する試験機器としては、蛍光X線分析装置があります(図2)。これは、X線を試料に照射して、その試料の中の元素組成を調べる装置で、非破壊でナトリウム(Na)からウラン(U)までの多元素同時分析ができます。ただし、炭素や酸素、水素等の、ナトリウムより軽い元素は分析することができません。

 ここで、蛍光X線分析装置による元素分析においてカルシウムが検出された例を紹介します。なお、表中の数値は検出された元素の中での割合です。

 まず、ゴムの分析例です(表1)。

 ゴムは、加工性改善、増量、補強等のため、無機充填剤が多く使用されています。この例では、バリウム及びカルシウムが多く検出されたことから、無機充填剤として硫酸バリウムや炭酸カルシウムが配合されていることが推測されます。

 次に、異物の分析例です(表2)。

 押入れの板表面に付着した白い粉の材質調査のため、元素組成を確認したところ、硫黄とカルシウムが多く検出されました。硫黄とカルシウムを主成分とするものとしては、石膏(硫酸カルシウム)があります。この例では、異物の状況から、建築材料として用いられた石膏ボードの粉末の可能性が考えられます。

 

表1 ゴムの分析例

表2 異物の分析例

検出元素 割合(質量%)
バリウム(Ba) 55
カルシウム(Ca) 34
マンガン(Mn)
硫黄(S)
ストロンチウム(Sr)
検出元素 割合(質量%)
硫黄(S) 50
カルシウム(Ca) 48
チタン(Ti)

 

 元素分析に使用する試験機器は、他にも電子線マイクロアナライザー(EPMA)、高周波プラズマ発光分光分析装置(ICP)、X線回折装置(XRD)等があります。製品や異物等の元素分析についてお考えでしたら、まずはお気軽に御相談ください。

 

■問合せ先

 工業技術センター 材料技術室

 TEL 082-242-4170(代表)

 E-mail:kougi@itc.city.hiroshima.jp

 


 

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