事業報告(技術振興室)
「環境経営実践講習会を開催しました。」
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本講習会では、地球温暖化と脱炭素社会実現の必要性についての全体像を知るための講演と、先進企業による環境経営の取り組みの講演を行っています。
今年度は以下の内容で開催しましたので、ご報告します。
- ■開催日令和3年12月22日(水)
- ■開催方法Microsoft Teamsによるオンライン開催
- ■テーマ
- ◇第一部
- 〇講師九州大学 大学院経済学研究院 准教授 藤井 秀道 氏
- 〇テーマ「企業活動と環境保全について」
- 1. 企業活動における環境保全の位置付けの変遷
- 2. 個別テーマにおける環境保全活動の取り組み紹介
- ①気候変動問題(脱炭素)への対応と製造業・非製造業における取組
- ②資源利用効率の向上を目指す循環経済(サーキュラーエコノミー)への経済システムの転換
- ③企業の重要課題(マテリアリティ)への対応と、非財務指標による投資家(ステークホルダー)の評価
- ◇第二部
- 〇講師株式会社SAMURAI TRADING 代表取締役 櫻井 裕也 氏
- 〇テーマ「卵殻を利用したCO2削減モデル」
- ・取り組みのきっかけ
- ・卵殻を利用する意義
- ・エコ玉プロジェクトについて
- ・CO2削減の具体的内容と成果
- ■講演概要など
- 藤井様からは、企業の環境保全活動が重要なビジネス戦略として位置づけられるようになっていること、海水温の上昇による自然災害の発生頻度の増加など環境変化が事業継続のリスクとして顕在化し、企業価値評価に環境要素が明示的に組み込まれている現状にあることについて解説いただきました。また、広島地域の製造企業を例に、企業価値の向上を目的とした企業の環境保全への取り組みと企業に融資を行う金融機関の取り組みについてもご紹介いただきました。
- 櫻井様には、デザート製造で大量に廃棄される卵殻を使った紙やバイオプラ容器の開発を通じた環境保護への取り組みについてご紹介いただきました。卵の殻は、専用処理機で粉砕して紙やプラスチックの原材料に混ぜることで活用されます。本商品は、環境保全活動に積極的な大手企業に多く採用されるなど、高く評価されています。また、櫻井様は環境保全活動の普及にも精力的で、地域企業や金融機関等に大きな影響を与えています。参加者からは、粉砕する上での排出量なども含めてCO2削減効果をどのように算出しているのか、補助金などを活用しなくても利益があるのかといった具体的な質問がありました。
- 講演後には、藤井様から櫻井様の取り組みを高く評価されるなどお二方の意見交換もあり、有意義な講習会となりました。
- ■最後に
- 脱炭素社会に向けた取組は地球温暖化への対策として世界的潮流となっており、日本においても2020年の臨時国会にて菅首相が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言され、環境に配慮した事業活動が求められています。
- 当センターでは、脱炭素社会の実現に向けた企業の意識向上と新たなビジネスチャンス発掘のきっかけとなることを目的に、来年度も本講習会の開催を予定していますので、ご関心のある方はぜひ、ご参加ください。
■問合せ先
工業技術センター 技術振興室
TEL 082-242-4170(代表)
E-mail:kougi@itc.city.hiroshima.jp