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マネージャーが語る「これが私の支援事例!」

広島市産業振興センターNEWS
マネージャーが語る「これが私の支援事例!」
(プロジェクト・マネージャー 久保 信三  ドリームベッド株式会社)

当センターのマネージャーが企業を支援している事例をご紹介します。

1 対象企業

 ドリームベッド株式会社は創業60年、従業員約300名、資本金9,100万円、年商65億円の、広島市内に本社を構える中堅企業です。同社の更なる発展をはかるにあたって、マットレスの生産を担当する八千代工場全体にわたる改善活動を進めるため、当センターに対し支援要請があり、当センターとして現在まさに支援活動を推進しているという事例の紹介です。


ドリームベッド株式会社
八千代工場
 ドリームベッド社の生産規模は年間約7万本です。ベッドのマットレスは素人目には皆同じに見えますが、シングルサイズ、セミダブルサイズ、ダブルサイズ等、サイズの違いだけでも5種類あり、これに内部スプリングの配列の違い、外被のクッション材の構成の違いを含めると、現在同社で扱っている商品の種類はトータルで約2000種類を超えるという、典型的な多品種変量生産形の業態です。
 生産性改善の支援が始まったのは、丁度1年前の9月でした。 まず最初に課題状況のヒアリングを行いましたがこの結果、同社の改善が単に経営トップからの指示ということではなく、担当マネジジャーレベルにも課題意識の形成ができていることがわかりました。また最終的には工場全体を巻き込んだ大規模な改善活動に発展するだろうということが想定されたこともあり、当センターの登録専門家をアドバイザーとして派遣することにしました。


2 初期診断

 アドバイザーによる初期診断で、現状のヒアリングと工場視察を行いましたが、これには担当取締役、部長、課長、係長までの関係者が出席し改善に対する会社側の意気込みが強く感じられました。この場で会社側のニーズの聴取、確認が行われ、課題として下記の3件が共有化されました。
① 材料、工程間、完成品のいずれの段階でも在庫が多いこと
② 工程間能力のバランスが取れていないこと。
③ 全行程にわたって無駄な作業が多いこと。

 初期診断の結果、全工程にわたる改善が必要だとの結論に至りましたが、数多くの課題を同時に手掛けることができないので協議の結果...、
① 活動対象職場をどれか一つ選定し、まずはこれに的を絞って改善を実施する。
② 選定に当たっては設備稼働率が低く、改善の優先度が高い職場を対象とする。
こととなりました。

 この方針のもとに「改善活動計画」を作成し、具体的な改善活動がスタートしたのです。
 ここでアドバイザーから「ひとつの改善を進めることによって、その他の職場の課題がより鮮明にあぶり出されてくるので、あせらずに着実に実行しよう」とのコメントがなされました。


3 改善/テスト・トライアル~段取り替え時間の短縮


縫製工程の外段取化の例。
作業中でもウレタンフォームが作業台の下を流れて行く。これによって機械を止めずにウレタンフォームを追加、入れ替えする作業ができるようになった
 マットレスの生産工程は、鋼線からコイルスプリングを巻くスプリング工程、マットの外被になるカバーを作る多針キルティング(縫製)工程、そしてこれらを一体に組み上げる組み立て工程からなります。もちろんこのほかにも細々とした多くの工程がありますが、大きく分けてこの3工程で成り立っています。対象職場としては、種々の工程の中で多品種生産のしわ寄せが特に大きく出ているキルティング職場にまず着目しました。
 次に行ったことは、現状の作業実態調査と工程分析、工程毎の作業時間の測定ですが、作業実態の記録、観察、時間データの採取・分析にはVTRが威力を発揮しました。
 この結果、キルティング工程の設備稼働率を高め生産性を向上させるためには、段取り替の時間を短縮することが最も効果があることがわかりました。
 VTRの画像分析の結果、アドバイザーから出された指示は下記の2点でした。
① 段取り換えの作業のうち、機械を停止させずに行っている作業と、機械を停止させて行っている作業に分類すること。
② 現在機械を停止させて行っている作業では、どうしたら機械停止時間を短縮できるか、更に進んで、どうしたら機械を動かしたままで実施すること(外段取化)ができるかというところまで突き詰めて考えること。


4 テストトライアルの成果

 これに加えて、工程内作業と段取り作業を明確に分け、段取作業を切り分けて専任化することも実施されました。この結果、1回あたりの段取り時間を改善前の約1/3まで短縮することができ、設備稼働率を大幅に向上させる見通しが立ったのです。
 以上はいずれも現場作業の改善対策ですが、アドバイザーからはさらに「生産順序の指示を出すときに、トータルで段取り替えの回数を減らし、またこれによって生産効率を高めるにはどうしたらよいかを考え、生産指示書に反映するように」との指示が出され、生産計画の領域にも改善のメスが入りつつあります。
 以上、トータル20時間を超えるアドバイザーの指導のもとに改善活動を実施した結果得られた改善成果は、本年3月に同社のトップマネジメントに報告会されました。この結果、改善活動をさらに工場全体に拡大することになりました。


5 工場全体の本格改善活動へ

 工場全体の改善活動に着手する前に、まず全社の収益計画及び八千代工場の採算計画の確認がなされ、これをスプリング、キルティング、組立の各職場の目標へとブレークダウンする作業が行われました。この職場毎の目標は、現場の作業者が日々の行動に反映でき、また達成度合いが確認(出来高管理)できる指標として表現されています。
 この全社の改善活動を実施するために、特別な実施体制が組まれています。まず職場固有の課題については、職場ごとに二つの小集団グループを置き解決に当たっています。一方、複数職場にまたがる課題に対しては、全社プロジェクトチームが編成されました。


6 あとがき

 ドリームベッド社の今回の改善への取り組みは、同社が本格的な量産メーカーとしてステップアップするためには必ず乗り越えなければならないものです。課題の重さ、広がり、活動期間の長さのどれをみても当センターの支援事例の中でも特徴的な事例の一つと言えます。

 この活動が長期にわたって継続し成果を上げつつある要因は、集約すると下記の三つがあげられるでしょう。
① 改善に対する経営サイドのぶれない方針
② 担当者の当事者意識が強く、それぞれが自らの問題として改善活動に取り組んでいること。
③ 豊富な経験と力量を持つアドバイザーの派遣

以上、読者のみなさんが自社の改善を考えていくうえで、本事例が何かのヒントになれば幸いです。なにか課題があったら、まず当センターに相談してみてください。(終)


■問い合わせ先中小企業支援センター経営革新担当 TEL 082-278-8032


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