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マネージャーが語る「これが私の支援事例!」

広島市産業振興センターNEWS
マネージャーが語る「これが私の支援事例!」
(株式会社コム  ITマネージャー 浜田 文男)


浜田マネージャー
当センターのマネージャーが企業を支援している事例をご紹介します。

【地元にあるシニア向け紳士服の企画・製造・卸を業とする企業のネット販売支援-BPO*の活用-】(*BPO:Business process outsourcing)

1 対象企業は
 主体となるのはシニア向け紳士服を企画・製造・卸販売する株式会社コムです。そして、BPOを受託し同社のネット販売をサポートするのは有限会社Broad Arts【広島市立大学大学院を卒業後すぐに起業】とカラフルブリック株式会社【企業内の独立支援制度により起業した女性社長】です。3社の間のマッチングに関しては、「"地元企業の困った"を地元企業がお手伝いする」というマネージャーの考えで行っております。

2 業界動向と同社の現状
 同社の属する業界はどのような状況でしょうか。下記に示します。
 ①繊維工業(アパレル産業含む)の製造品出荷額は、約4兆8,779億5,000万円です。
  (2008年度)[工業統計調査 平成20年確報 産業編]
 ②アパレル製品の卸売業及び小売業の市場規模は、「繊維・衣服等卸売業」の年間商品販売額が約17兆円、「織物・衣服・身の回り品小売業」の年間商品販売額が約11兆円です。
  [平成19年商業統計確報]
 ③繊維・アパレル産業の製造から小売まで全てを合わせた市場規模は、52兆262億円です。
  (2007年)[繊維ハンドブック(日本化学繊維協会 年刊 【Z41-6895】)2010年版]
 ④紳士服の国内販売額は、前年度比9.8%減の2兆3,912億円です。
  (2009年度)[日経産業新聞(日本経済新聞社 日刊 【Z85-335】)2010年7月30日号]
  消費低迷を背景に、百貨店での販売不振や低価格化が加速しています。
リサーチ・ナビ(国立国会図書館) の資料より編集。】

 このように市場規模にはいろいろな見方があります。紳士服に限れば国内販売額は2兆3,912億円ですから、卸売業の販売額は約1兆2000億円と推測できます。つまり、かなりの市場規模ではあるものの業界の販売額は減少傾向にあるといえます。

 一方、外部環境の低迷にも関わらず、同社の業績は増収・増益を確保しており、がんばっておられます。その要因は、同社の3つの強みにあります。
 (1)取扱商品のうちほとんどの商品は、自社で企画している。【優れたデザイン力】
 (2)自社企画商品は、国内の協力工場に委託して製造している。【高品質な日本製】
 (3)昭和62年創業で小売業(量販店等)と信頼関係を築いている。【高度な信頼感】

 さて、本事例のテーマであるネット販売に着目すると、同社の全売上の1%にも満たない状況です。あらためて3社の連携した動きを活性化する必要があると言えます。

3 株式会社コムと有限会社Broad Artsとの出会い
 社長から新しい販売チャネルとしてネット販売の可能性について相談があったのは約3年前です。当センター主催のセミナー『Web2.0がビジネスを変える!』に参加頂きました。
 そこでの社長の感覚は「ネット販売にトライしてみよう」ということでした。しかし、社内で体制が組めないため社外との連携を模索することとなりました。
 その相手として私が紹介したのが有限会社Broad Artsでした。まず、トライアルとして独自サイトを構築することにしました。商品がアダルトシニア向けであることから、コンセプトは「お父さん、おじいちゃんをお洒落に。日本製にこだわるメンズファッション」としました。両社は、独自サイトを構築するための提案と協議を行い役割分担を明らかにしました。技術面では、①SEO ②検索連動型広告 ③Yahoo!オークションの活用 を行っています。
 また、アクセス履歴の解析からサイト構成の改善も行っています。
 しかしながら、結果として思うような成果には結びついていません。
 次に、集客力に期待して2店目をショッピングモール「楽天」に出店しました。

 楽天㈱広島支社の助言を参考にしながら現在も運用しています。楽天で的を絞った広告を打つと売上は大きく向上します。今年の「父の日」のイベントではこれまでで最高となる売上を計上しています。また、広告をやめると売上は減少していきますが、一定程度の売上は上がっています。検索ワードとして"日本製"で検索される新規のお客様が増えているようです。

4 株式会社コムとカラフルブリック株式会社との出会い
 同社はコンセプトを具現する商品として、「還暦に贈る赤いちゃんちゃんこ」よりも「おしゃれに着てもらえる赤い服」を新たに商品開発されました。ここですこし「赤」について調べてみますと、「活力や生命力の象徴」「情熱と行動力を喚起させてくれる」と言われています。そして、赤を着る人自身に元気や勇気を与えてくれるとのことです。
 さらに、商品の購入層が女性であることを考慮して女性目線でサイトを構築することとし、独自サイトをリニューアルすることにしました。そこで、私は新たな連携先としてカラフルブリック株式会社を紹介しました。
 今年の夏に赤い服の専門店として新たにオープンした後、4つの仕掛けを施しているところです。

5 これまでの振り返りと今後の応援
 同社のネット販売の難しさは、ターゲットである商品購入者と商品を身に付ける人が異なっており、しかも、年長者である点にあります。また、ターゲットである女性については30歳代と40歳代では考え方が変わるという報告があります。(「ニッポンを元気にするオンナゴコロマーケティングより」)
 それによると、バブルを経験した40歳代は「バブルガールズと呼びいつまでもお祭りさん、見栄ママ」、バブル後の30歳代は「アフターバブルガールズと呼び平和を求める堅実さん、まじめママ」ということです。このような世代別の感性を考慮した取り組みが望まれます。
 ところで、企画・製造・卸である同社が、消費者に直接販売できるネット販売にトライすることは大いなる可能性があります。ネット販売を通して「買って頂いたお客様から丁寧なメールを受け取り、驚きと商品への自信をあらためて感じた」という社長の言葉に象徴されるように、企画・製造・卸としては十分な力をお持ちですが、小売業としてはまだまだのようです。
 その部分をネット販売の連携企業にBPOという形で託しているわけですから、今後3社の連携した動きをますます活性化するよう支援するつもりです。第一弾として、同社では社内体制を強化されるとのことですので、3社間が密に連絡し提案・検討・実施・評価のサイクルが回るよう応援したいと思っています。

■問い合わせ先中小企業支援センター経営革新担当 TEL 082-278-8032


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