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今広島で注目の企業

広島市産業振興センターNEWS
今広島で注目の企業  「NEW」
「中小スーパー向けSaaS型ネットスーパーシステム」を開発
株式会社リマック


田渕 信夫さん
 「SaaS(サース、※1)型ネットスーパーシステム」を開発し、クラウドコンピューティング(※1)に取組んでいる株式会社リマックの代表取締役 田渕 信夫さんに、お話をうかがいました。

※1 クラウドコンピューティング(以下「クラウド」と呼ぶ)とは、従来、身近なコンピュータで管理・利用していたソフトウェアやデータなどを、インターネットなどのネットワークを経由して、サービスの形で利用する方式。このシステムの中で、ソフトウェア機能のサービスを提供することを、SaaS(サース、Software as a Service)と呼んでいる。

(1) 開発の目的は何ですか。

 経済産業省の推計にもありますが、日本全体で買物難民(※2)が600万人と言われている中で、私どもとしては、お客様と一緒に生きていく、また社会的に意義のあるシステムを開発したいということで、ネットスーパー(※3)に取組みました。
 広島市産業振興センターから補助金を受けて開発を開始した当時は、イオン、イトーヨーカ堂などは既に独自でネットスーパーを開発し運用しておりましたが、中小のスーパーは、開発費だけでも、数千万円かかり導入が難しいということで、当時、技術として注目されだしたクラウド型のシステムを使って、スーパーにも導入できる低コストのシステムを開発しようということになった訳です。

※2 買物難民とは、郊外型で大規模なスーパーの出店や深刻な不況などにより、その地域にある店舗が閉店してしまい、山間部の高齢者や車を運転できない人々などその地域住民が、生活用品の購入に困るという社会的現象のこと。
※3 ネットスーパーとは、家庭において、インターネットにつないだパソコン上の画面から、日用品や食料品などの商品を注文し、宅配してもらうことができるインターネットショッピングの形態の1つ。

(2) 開発する上で苦慮した点や問題点は何ですか。

 2年前にクラウドサービスを行っていたのは、アメリカにある会社だけで、私どもが採用したのは、本などのインターネット通販で有名なアマゾン・ドット・コムです。
 専門的にお話しますと、クラウドの種類としては、サース(SaaS)、パース(PaaS、※4)、ハース(HaaS、※5)とか、それぞれ利用の仕方で中身が違うものが複数存在しております。
 私どもが採用したのは、ハース(HaaS)で、それを提供している会社がアマゾン・ドット・コムだった訳です。当然、アマゾン・ドット・コムはアメリカの会社なので、英語版のマニュアルを読みこなすだけでも大変でした。それが苦慮した点の一点目です。
 また、アマゾン・ドット・コムの拠点が、米国の西海岸、東海岸とヨーロッパと遠距離であること加え、ほとんどサポートも望めない状態だったので、自力で研究開発するしかなかった訳です。それが苦慮した点の二点目で、大変苦労いたしました。
 また、細かい話になりますが、お使いになるのは日本人なので、例えばデーターベースの英語版の仕様によると、日本語版にも変換できるということでありましたが、実際、英語と日本語の両方できるように設定してしまうと、どうしても英語版を優先してしまい、システムがうまく稼動しないという問題が生じました。

※4 パース(PaaS)とは、「Platform as a Service」のことで、OSやデータベースなど、ソフトウェアが動作する環境を提供すること。
※5 ハース(HaaS)とは、「Hardware as a Service」のことで、ハードウェア資源をネットワークサービスとして提供すること。

(3) 事業の成果についてお聞かせください。

 クラウドの運用方法を大きく分けますと、「パブリッククラウド※6」と「プライベートクラウド※7」の2種類になります。
 私どもは、中小企業を前提としておりますので、共用環境を利用でき経費的に有利な「パブリッククラウド」を使っております。
 「パブリッククラウド」は、現在では、多くの会社が使っておりますが、セキュリティとかスピードとか性能とか色々問題があり、日々の改良が必要となってきます。
 開発に取りかかった2年前は、ハース(HaaS)の基礎研究だけで、実用化までは色々問題がありました。一番の問題は、提供している会社が海外だったので、システムの稼動や運用までに時間がかかりすぎる点でした。
 私どもは、自力でこのシステムの改良を重ねた結果、ネットスーパーとして実用化することができ、現在では、広島県呉市内のスーパー三和ストアーほか数社に導入しております。
 このシステムの良いところは、導入までの期間が短縮できるところとシステムの改変が迅速に行えるところで、ユーザーに大変好評です。
 また、スーパーの場合は、商品の物流サイクルが早く、ユーザーも迅速に商品改変を行わなければなりません。クラウドの場合は、それが可能となってくる訳です。

※6 パブリッククラウド「Public Cloud」とは、多種多様な企業や組織、あるいは個人といった、不特定多数の利用者を対象に広く提供するもの。
※7 プライベートクラウド「Private Cloud」とは、企業が自社内でクラウドコンピューティングのシステムを構築し、企業内の部門やグループ会社などに対してクラウドサービスを提供するもの。

(4) 今後の事業展開についてお聞かせください。

 大手スーパーなどは、広島市の住宅密集度が、東京などの大都市に比べ低く採算が合わないということでネットスーパーを行っておりません。このため、常にお客様目線に立ち、地域に根付いたものになるようシステムの改良に携わっているところです。
 こうした成果が実ってか、昨年12月に、日本マイクロソフト社から協業支援の申出があり、同社が提供するウィンドウズ・アジュール・プラットフォーム(Windows Azure Platform、※8)を利用し、小規模でも導入し易く使い易い『安価で高性能なネットスーパーシステム』として、バージョンアップし、平成23年2月1日から全国発売することになりました。
 今後も引き続き、システムを改良していき、ますます皆さまのお役に立つものになるよう努力してまいりたいと思います。

※8 ウィンドウズ・アジュール・プラットフォーム(Windows Azure Platform)とは、マイクロソフト社のデータセンターにあるクラウドプラットフォームのこと。

【システムについて】
 (財)広島市産業振興センターの「平成21年度新技術・産学官共同研究開発助成金」の助成を受けて開発。平成22年9月から三和ストアーで運用を開始し、現在は、複数の地域中小スーパーマーケットでも導入しています。

【株式会社リマックの概要】

【事業内容】
 システム・コンサルティング、システム開発・運用サポート、流通業コンサルティング、ポイントカード事業など
【所在地】
 〒730-0024 広島市中区西平塚町2-16
【電話】
 082-247-4569
【FAX】
 082-247-4589
【ホームページ】
 http://www.rimac.co.jp/



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