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工業技術支援アドバイザーの紹介 「ザトウクジラのヒレ形状の工業的利用に関する研究」 |
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技術振興部 技術振興室(広島市工業技術センター内)では、地元中小企業に対する支援施策として、企業からの相談内容に応じ、企業や大学などで実績豊富なアドバイザーを製造現場へ派遣し、指導・助言を行っています。自社製品の品質向上・保有技術の新分野展開等にぜひご活用ください。 このコーナーでは、現在アドバイザーとして登録いただいている大学の先生方に、大学での研究内容についてご紹介していただきます。
広島大学大学院工学研究院 輸送・環境システム流体研究室 教授 土井康明さん
土井 康明さん 当研究室のキャッチフレーズは、「輸送と環境を支える流れのエンジニアリング ~システムデザインのためのFluid Engineering力の涵養~」です。 研究室では、船舶・自動車・航空機等の推進・運動性能の向上、これら輸送機器が大気・海洋環境に与える影響、自然エネルギー(風力、波浪、潮流等)を利用した発電技術など、輸送と環境に関する流れの技術について教育・研究を行っています。 これらの問題解決には、複雑な流体現象のダイナミクスの本質の探究が必要です。 流体力学理論、実験・観測のみならず、最新のコンピュータシミュレーション技術も駆使し、流体要素をシステム化・デザインする能力を養成しています。 詳細については、HP (URL:http://home.hiroshima-u.ac.jp/efe/)を参照下さい。 所属学会:日本船舶海洋工学会、日本土木学会、可視化情報学会 受賞:日本造船学会賞(1994年)、日本造船工業会賞(1994年)日本船舶振興会会長賞(1994年) 【研究内容のご紹介】 「ザトウクジラのヒレ形状の工業的利用に関する研究」 ザトウクジラにはクジラの中でも大きな胸びれがあり、このヒレは捕食時の旋回などに使用されています。 ザトウクジラの胸びれには大きなコブ(結節)がいくつもあります。 このことに着目した研究が最近行われているのですが、我々は、流体力学的な観点から波状前縁(我々はコブをこのように呼んでいます)を用いて翼の機能を高め工学的に応用できないかと模型実験や流れの数値シミュレーションを行っています。 翼は流れに対する角度が大きくなると翼まわりの流れが剥離して揚力が急減し失速します。ザトウクジラのヒレのコブは流れを乱しているように思われますが、実は流れの剥離を抑える効果があると分かってきました。このことを工学的に利用したいのです。 翼周りの流れ 波状前縁のある翼周りの流れ 上図は、矩形翼周りの流れを流線で、翼表面の圧力を色で表した(青色が低圧)ものです。流れは左下から右上に向かっており、左が一般の翼形状で、右が波状前縁を付けた翼です。 左の翼では翼前縁で流れが剥離していますが、右の波状前縁を付けた翼では流れの剥離が抑えられ、ひいては翼表面の圧力が低くなることがわかります。 ■問い合わせ先 技術振興部 技術振興室(広島市工業技術センター内) TEL 082-242-4170(代表) |