この「地域」をプロデュースする仕事とはいったい何なのでしょうか。
著者によると、「地域プロデューサーとは、地域の皆さんから本当にやりたいことを引き出して整理・編集し、関係者のコミュニケーションや意志決定を促し、想いを紡ぎながら、目標に向かってプロジェクト全体をコーディネイトしていくような存在」と説明しています。地域プロデューサーの役割としては3点、①チームをつくること ②地元の人を主役にすること ③事務局機能をつくることとしていますが、とくに地域プロジェクトの主役はその地域に住む人たちだと強調しています。
メディアなどで紹介されているまちおこしの事業では「美談」が多く、実際は地域の抱える課題は千差万別で、思ったように成果が上がらないケースもたくさんあり、成功の裏には必ず数知れない苦労や地味な努力の積み重ねがあることを忘れてはならないことも主張しています。またこれらを成功させるため、地域プロデューサーの役回りと専門性がカギを握ると提案しています。
そこで紹介されている例としてあげられているのが、大失敗を越えて生まれた島根県隠岐郡海士町「さざえカレー」プロジェクトです。海士町では「地元の家庭料理を島の産業振興の起爆剤にしたい」、「若者を島に呼び戻すためのきっかけにしたい」という地域の夢や願いが込められています。初お披露目の試食会の大失敗など、様々な困難を乗り越えて、ようやく「さざえカレー」が完成し、更にロングセラー商品となりました。海士町ではさらに産業振興に力をいれています。
また高知県の産業振興スーパーバイザーに就任し「目指せ!弥太郎 商人塾」という産業振興を担う人材育成のプログラムを作成して、「自分でやれるようになってもらう」ことを目指していきます。
地域のプロジェクトによって、「人がかわり、地域が変わり、未来が変わる」という、地域から日本の未来を変えるという取り組みのなかに、様々なビジネスのヒントがあるかもしれません。
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