経営戦略において、「イノベーション」(直訳すると、技術革新)という言葉は頻繁に登場します。 それは、時代に取り残されず、良好な経営を持続するためには、企業にとってイノベーションが重要と考えられているからではないでしょうか。
しかし、現在、日本に限らず、世界の多くの企業では、新しい商品やサービスを生み出すためのイノベーションへの配慮がなく、ありきたりの商品を短期間の開発で市場に投入することに終始し、新しく何を作りだしたらよいのか、またどのように作り出せばよいのかわからないというような状況にあることを筆者はこの本で指摘しています。
そのような状況を打開するためのイノベーションを生み出す方法として、この本は「デザイン思考」を挙げ、経営戦略にいかに繋げるかを解説しています。
前半は、デザイン思考とはどういうものか、また20世紀のものづくりについて様々な著名人の言葉や哲学を引用しながらイノベーションのプロセスが書かれ、後半は、著者が実際に関わったイノベーションの実現に向けたワークショップが体系的に紹介されています。
アップル社の元CEOで、2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏が世に送り出した商品の数々は、社会が求めているものであり、消費者を楽しませ、新たな生活の在り方を提示しました。これらの商品の開発にはイノベーションがあったことは言うまでもありません。 日本企業が元気になるためには、このような企業活動が必要と思われます。 イノベーションの方法論を述べたこの本は、これからの日本企業の在り方を考える際に参考となる1冊です。 |
|