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中小企業のリスクマネジメント(前編)」 石原 正人(いしはら まさと) 石原正人税理士事務所 所長 Ⅰ 企業不祥事に関する報道が、近年目立っています。このような企業不祥事は、どうして起こるのでしょうか。企業不祥事が発覚することによって、当該企業は、民事の損害賠償請求、刑罰、あるいは行政上の処分など、さまざまな処分を受けることになります。また関与した個人も責任を負います。さらには、消費者などから非難を浴びて業績不振を招き、果てには倒産に至る企業も続出しています。つまり、企業不祥事につながる行為は、企業にとって、いいことは何ひとつないのです。 コンプライアンスとは、一般に法令等を遵守することと定義されています。かつては、コンプライアンスとは法令遵守であるとされるのが一般的でしたが、今日では法令だけではなく社会にある様々なルールも、遵守すべき対象に含まれています。 ところで、企業不祥事が続発する原因には、さまざまものがありますが、原因の1つとして、これまで企業にコンプライアンスの意識が低かったことがあげられることは間違いありません。コンプライアンスの意識が低いということは、これまでの企業経営は、コンプライアンスを前提とした体制となってなかったということです。 たとえば、コンプライアンスの実践のためにはコストがかかりますが、とくに多くの中小企業では、これまではコンプライアンスにかかるコストを計算に入れていなかったのが実態ではないでしょうか。しかし時代は変わりました。今日では、コンプライアンスの実践を行なわないことが、企業経営にとっての大きなリスクとなっており、企業にとって対応を迫られる課題の1つとなってきています。 Ⅱ コンプライアンスの実践というテーマについては、コンプライアンスの実践の必要性を実感していても、そのためには、いったい何をすればよいかがわからないといった声をよく耳にします。またコンプライアンスの実践の体制を整備するには、多額のコストがかかるのではないかという懸念もよく聞かれるところです。 確かに、コンプライアンスの実践は壮大なテーマであり、やることは無限にあります。やることが無限にあればそれだけコストも増える可能性があるということです。しかし、コンプライアンスとは法令等を遵守するというひとことです。法令等遵守とは、考えてみれば当たり前のことであり、当たり前のことがどうしてそんなに難しく感じられるのでしょうか。 もちろん、コンプライアンス実践のための体制には、唯一絶対のものがあるわけではありません。各会社の実情などに応じて、各社の創意工夫により確立すべきものですし、確立のための手法もさまざまなものが考えられます。 次回は、その具体的な手法についてふれたいと思います。
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