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川上 正人(かわかみ まさと) 株式会社流通プランニング研究所 代表取締役 所長 特定非営利活動法人中小企業販路開拓支援協議会 代表理事 中小企業診断士 広島市中小企業支援センター登録専門家 「うさんくさい」・・・・と思われがちです。 残念ながら初対面の場合、ここから商談が始まります。商品が いいか悪いかという前に、信頼できる会社であるかということを評価されてしまいます。 会社も商品も信頼できるのか、それを判断するための材料を相手方は求めています。 第3回:企業価値・商品価値の明確化 (1) 必要性 婚活、就職でいえば、履歴書というものがあります。 ひとはあっただけでは、その内面までわかりませんから、書面で自己紹介することが古くから行われています。 商談も同じことがいえ、どんな企業なのか、どんな商品なのかを効果的に伝えるための書面が必要となってきます。近場の商いであれば、企業やひとはある程度知られており、商品も実物をみせ、相対しながらの説明も可能ですが、遠隔地の場合は、そうもいきません。 商談相手が欲しい情報は、取引や取扱いの是非を判断する材料であり、これを忘れてはなりません。立派なパンフレットや、説明用資料を用意すればよいというのでなく、肝心なのはその中身なのです。 (2) 企業価値の設定方法 最小限伝えるべき価値には、企業と商品の2種類があります。誰しも、よい企業と末永く取引したいと考えます。そのために、相手方によい企業と思ってもらえる必要があり、私は、2区分、6項目でまとめてみました。 事業方針では、「経営のあり方」「営業体制」「商品構成」とし、 対応方針では、「品質保証体制」「商談姿勢」「販売促進支援体制」としており、自社の強みを表現することをお勧めしています。 何を大切に考えて経営しているのか、円滑な取引のため、どのような体制を構築しているのか、どのような領域の商品を扱っているのかを、事業方針として説明します。 次いで、対応方針として、安全な取引のための取り組み、商談に当たっての用意、そして取引が始まった後、どのようなサービスを行う用意があるのかなどの考えを示しています。 (3) 商品価値 「利は元にあり」という格言があります。よい商売はよい仕入れからといわれていることから、その商品の有する価値や、第三者が取り扱うメリットを十分に伝えることが効果的です。 商品価値を説明する場合、留意すべきこととして、その商品を消費する消費者のみでなく、その商品の販売に携わる第三者(小売店等)にとって価値が示されなければなりません。 消費者は、おいしいとか、ここちよいとか、使用感などを重視するのに対して、小売店等は、新規客を誘引するとか、固定客化につながるなど、自分のビジネスに、どうかかわるものなのかを知りたいと思っているはずです。ところが、この部分を記載した提案資料は、あまり用意されておりません。 それぞれの違う立場において感じられる、有用性(メリット)、優位性(違い)、そして、消費者向けの場合、使用方法、小売店等取扱者向けに、販売方法を示す必要があります。 (4) 事例紹介 地域のスーパーにしじみを卸していた企業が、首都圏に向けた販売に取り組んでいましたが、思うような成果が得られませんでした。地元では、しじみは珍しいものでなく、価格競争に陥りがちであったため、遠隔地に販売先を求めたものです。しかしながら首都圏には、同地のものをはじめ全国からしじみが集まり、それ自体では訴求力が弱かったようです。そこで消費者に「食べるしじみ」と訴求し、小売店にもPOP提供などを行った結果、販売が好調となり、取引先拡大に成功しておられます。(島根県K社) 売る側は、販売に苦労しているが、仕入れる側も、よい商品の調達に苦労しています。 買い手は、確実によい商品を求めています。売り手が行うべきことは、売り込むのでなく、よい商品の価値を的確に伝え、企業として信頼されるよう、自社の強みを示すことが、成功する販路開拓のポイントです。
■筆者紹介 株式会社流通プランニング研究所 代表取締役 所長 川上 正人 昭和38年大阪府生まれ 広島市内の大学を卒業後、広島県中小企業団体中央会、青山監査法人勤務を経て、平成5年、経営コンサルタントとしての活動を開始する。 以後、中小企業の取り組む経営革新支援に携わり、計画立案の支援のみでは、得られる成果に限界があることを感じ、販路開拓支援のための調査、研究に取り組んだ。北海道から九州までの中小企業診断士等専門家11名と連携し、平成20年、NPO法人を設立。現在、商談ツールの開発をサポートし、商談機会提供による販路開拓支援に取り組んでいる。 |
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