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(23)環境社会に対応した取り組み(第1回)

環境社会に対応した取り組み(第1回)
-21世紀時代の大転換-

森下 兼年さん
森下 兼年さん
森下 兼年(もりした かねとし)

技術士(環境部門)


 20世紀の日本は1960年代からの高度経済成長は大量生産・大量消費の時代でもあった。
 経済の発展途上においては、そもそも品物が不足しているので、大量生産が必要である。
 大量に消費されたあとは、大量に廃棄された。その結果として、日本全国で深刻な廃棄物問題が発生した。焼却炉からのダイオキシンの発生や最終処分場の不足、不法投棄による環境汚染が顕在化した。特に2000年頃には日本全国で大規模な産業廃棄物の不法投棄が発覚した。瀬戸内海の豊島の不法投棄事件、福島県いわき市(四倉町)の不適正保管の事件、青森・岩手県境産業廃棄物不法投棄事件などである。





 これらの事件は地元の自治体だけでなく、県や国まで巻き込んで、莫大な税金を投入して現状復帰や汚染の封じ込め処理が行われた。このような背景から、国はリサイクルを推進し、各種リサイクル法を整備してきた。それにより、最終処分場で埋め立てられる廃棄物は毎年減少してきている。



 そして日本では目に見える形での環境汚染はなくなっていった。確かに、この20年間の日本は「失われた20年」と呼ばれ、東京以外の地域では経済活動が停滞し、大規模な開発も少なくなり、環境問題による被害を直接受けることは、ほとんど無くなった。空は青いし、川も海もずいぶん綺麗になった。自然環境では絶滅したコウノトリも野生復帰した。しかし、環境を復元しつつある日本とは対照的に、中国やアジアの国々では深刻な環境問題が発生している。特に中国はこの20年間で大きく変貌した。大都市に人口が集中し、40階以上の高層ビルが立ち並び、自動車が大渋滞している。工場の排煙の影響で、日中から空が薄暗く、太陽が霞んで見える。夜は星が一つも見えない。また、急激な経済発展のため慢性的な電力不足に陥っている。大気汚染、水質汚染、自然環境の破壊など、日本の昭和30年代前半の状況が10倍の規模で発生している。中国人が日本の美しい山林を買い漁る理由もここにあるのかもしれない。日本だけを見ていては世界の環境問題は理解できない。



 一方、日本では温室効果ガスによる気候変動いわゆる地球温暖化問題が声高に叫ばれて、国も温暖化対策法や京都議定書目標達成計画などを策定し、国民や企業にエネルギーの削減を促す施策を行なってきた。しかし、二酸化炭素の排出は目に見えないし、今すぐに影響が出るものではなく、50年後100年後の未来の世界の話と考えると、あまり対策が進まなかったのが現実である。
 しかし、3月11日の東日本大震災が全てを変えた。いままで、いわば使い放題といった電力であったが、逆に如何に節度を持って電力を使用するかという方向へ、180度の転換が行われた。人類は、エネルギーを使うことは極めて大きなリスクを取っているということを初めて認識したのではないだろうか。原子力がダメなら火力に戻るという単純な話にはならない。石油の価格もこの10年で5倍に値上がりしている。世界が豊かになればエネルギーの需要は大きくなる一方である。これからの日本の企業は環境・エネルギーに対する戦略を立てなければ生き残ることはできない。

 次回、企業が最初に取り組むべきことについて書きます。

■筆者紹介
  森下 兼年
  株式会社グリーンテクノロジー 代表取締役
  技術士(環境部門)
 

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