本文へ移動

広島市中小企業支援センター

ひろしまの企業支援情報

公益財団法人広島市産業振興センター

広島市工業技術センター

  1. 広島市中小企業支援センター

「ICTの最新動向と活用について」(第2回)
-スマートフォンで何が変わるか-

藤川 英士さん
藤川 英士さん

 藤川 英士(ふじかわ えいじ)

 社団法人広島県情報産業協会
 HiBiS(広島インターネットビジネスソサエティ) 運営委員長
 ノイアンドコンピューティング(株) 代表取締役



 今回は、急激にシェアを伸ばしているスマートフォンについて説明し、それによって我々の生活やビジネスはどのように変わるか、お話したいと思います。


 スマートフォンのブームに火をつけたのは、2007年にアップルコンピュータが発売したiPhoneでしょう。大きなタッチパネル式画面で直感的な操作を行い、アプリケーションをダウンロードすることで新しい機能を簡単に追加できる。発売当時、端末からアプリまで、その一貫したサービスの完成度は感動すら覚えるものでした。iPhoneの成功を受けて、各社は一気にスマートフォンに力を入れはじめ、その販売台数は当初予測を上回りながら右肩上がりで増加しています。日本国内でも現在(2011年9月時点)は、約半数の新規販売をスマートフォンが占めるまでになりました。


スマートフォン出荷台数・比率の推移・予測
出典:MM総研



 それでは、スマートフォンとこれまでの携帯電話の違いはなんでしょうか。


 スマートフォンはこれまでの携帯電話(「フィーチャーフォン」と呼ばれている)と比較して、機能がアップしたもの、という捉え方は間違いです。実際、これまでの携帯電話も十分すぎるほどの機能を搭載していました。これまでの携帯電話が「電話機」からメールやウェブなどのPCの機能を追加されたのとは逆に、スマートフォンは、小型のコンピュータに、音声通話機能を搭載したもの、という説明が合理的です。また、特徴的なのは、タッチパネルによる直感的な操作が可能で、アプリケーションをダウンロードすることで、機能を拡張できることです。アプリをダウンロードするしくみは、これまでの携帯電話にもありましたが、スマートフォンはその自由度が極めて高いのが特徴です。また、キャリアや機種によって、アプリが異なり開発コストがかかっていましたが、スマートフォンは同じプラットフォームでは基本的に同じアプリケーションが動作します。また、開発したアプリは世界中で利用することができることは、開発者にとって魅力的です。現在、大きく分けて、iPhone(iOS)、Android、Windows Mobileの3つが代表的なプラットフォームです。


スマートフォンOS別契約数シェア(11年3月末)
出典:MM総研



 スマートフォンは、今まさに爆発的に普及している最中ですが、この原稿を書いている間にも大きな動きがありました。まず、韓国サムソン(2010年の世界シェア2位)がマイクロソフトと特許技術の相互利用を許諾しました。これは、Apple社の特許の他、AndroidのベースとなっているLinuxにも特許利用料が発生するなど、モバイルプラットフォーム技術を巡って複雑な構図があることが背景です。また、国内では、これまで独占的に販売していたソフトバンクに次いで、KDDI(au)がiPhoneを出すことになった、という報道がなされており、企業の攻防は続いています。どちらにしても、スマートフォンは、これまで日本国内ではiモードに代表されるように、端末からネットワーク、コンテンツまでをキャリア主導で行うビジネスモデルから、メーカーが主導になってきていると言えます。


 さて、スマートフォンは、我々の生活やビジネスにどのように影響を与えていくでしょうか。


 まず、個人利用ですが、特筆すべきは、やはりアプリでしょう。これまでの携帯電話のアプリといえば、ゲームに代表されるエンターテイメント系が多く、ユーザ層は限られていました。しかし、スマートフォンでは、たとえば、主婦の間で大人気となっているレシピのアプリなど、ゲーム以外のさまざまなアプリが出ており、日常生活の中での利用が増え、幅広いユーザ層に受け入れられていくと思われます。


 私が着目しているのは、企業での利用です。これまでの携帯電話も、音声通話以外に法人利用をしようとする試みはありました。実際、グループウェアや営業日報などのシステムには、携帯電話で利用できるものも出ています。しかし、通常PCで処理する業務を、フィーチャーフォンで行うには、画面や操作性、入力方法などで効率的とはいえませんでしたが、スマートフォンは、使いなれたPCと共通したユーザインタフェースをベースに、大きな画面と操作性、専用端末に比較して機器のコストの低さ、オープンな開発環境によるアプリ開発コストの低さで、十分に企業での利用に耐えうると考えています。現時点では、ビジネス上でも主に個人レベルでの利用が大半ですが、次のステップは、企業が主体となって自社の業務アプリケーションをスマートフォン上で動かすようになると考えられますし、実際、搭載されているカメラやGPS(位置情報システム)を活用したリアルとの連携の部分を中心に事例が出てきています。


 企業でスマートフォンを利用する上で課題となるのはセキュリティです。


 最近、スマートフォンを標的にしたウィルスの報告をよく耳にします。特にAndroidはオープンなOSであり、ユーザ数も多いため、ウィルスの報告も多く感じられます。スマートフォン用のウィルス対策ソフトを導入するのはもちろんのこと、企業はPC同様、それ以上にセキュリティ対策をしっかり行うことが必要となっています。

■<講師プロフィール>
 藤川 英士(ふじかわ えいじ)
 広島市出身。1995年、早稲田大学大学院情報工学修了後、NTT(株)に入社。ヒューマンインタフェース研究所にて検索サービスのユーザインタフェースの研究に従事。
 2000年、ノイアンドコンピューティング(株)を設立。様々なウェブ/モバイル向けサービスの開発・運用を行う。
 2006年より(社)広島県情報産業協会常務理事。2009年よりHiBiS(広島インターネットビジネスソサエティ)運営委員長。安田大学非常勤講師。
 

ページトップへ