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(28)ICTの最新動向と活用について(第3回)


ICTの最新動向と活用について(第3回)

-SNS(ソーシャルネットワークサービス)はビジネスで利用できるか?-


 中小企業の経営者が抱える経営課題について、
専門家の方にわかりやすく解説していただいています。
 なお、このセミナーの内容は、当財団のホームページに「Webセミナー」として公開していますので、いつでも見ることができます。

藤川 英士さん
藤川 英士さん
 
 -SNS(ソーシャルネットワークサービス)は
    ビジネスで利用できるか?-


 藤川 英士(ふじかわ えいじ)

 社団法人広島県情報産業協会
 HiBiS(広島インターネットビジネスソサエティ) 運営委員長
 ノイアンドコンピューティング(株) 代表取締役


 ITをテーマにした誌上セミナーも最終回となりました。今回はFacebookやTwitterなどで話題のSNS(ソーシャルネットワークサービス)とは何か、我々のビジネスにどう役立てていけるか、についてお話ししたいと思います。

 SNSは、ソーシャル=社会=人間関係 という言葉が示すとおり、一般的に「友人や知人などの人間関係をネット上に再現したサービス」のことを示します。友人や知人などは、匿名ユーザと違ってすでに信頼関係が構築されていますので、そこから得られる情報も信頼性の高いものになると考えられます。図1は、市場調査会社ニールセンが2009年に発表した宣伝媒体/情報ソース別の信頼度についての発表です。

宣伝媒体/情報ソース別の信頼度
図1 宣伝媒体/情報ソース別の信頼度 (2009 年4 月)

 SNSの本質である「知人からの推奨」は90%とダントツの信頼性があり、クチコミサイトなどを想定したインターネット上の意見が、テレビや新聞記事などを抑えて2位になっているのは非常に興味深いところです。SNSをビジネスに利用するとは、まさにこの情報の信頼度(から来る情報の伝播速度とそのコストの低さ)を利用することに他なりません。

 これまでSNSといえば、国内企業のmixiでしたが、先ほど述べたようにFaecbookの勢いがとまりません。mixiが現在会員数約2000万人に対し、2011年8月時点では国内で1000万人を突破したといわれています。200万人から1年間でmixiの半数にまで増えています。

利用者数が200万人から1,000万人に達するまでの経過月数
図2 利用者数が200万人から1,000万人に達するまでの経過月数
(出展 : ニールセン・ネットレイティングス 2011年9月発表の報告より)

 Facebookの特長は、なんといっても実名での登録しなければならない、というルールです。日本は国民性から言って、実名登録は受け入れられないのではないか、と言われていましたが、昨年末に公開されたFacebookをモデルにした映画「ソーシャルネットワーク」の効果があったかはわかりませんが、実名登録がリアルな社会をネット上に再現するための最適なしくみであることが理解されはじめています。

 さて、ここからはSNSのビジネス利用についてお話します。SNSを、情報を伝播させる媒体(=メディア)として捉えると、真っ先に考えられるのはマーケティングに活用することです。先ほどの情報ソースの信頼度にあるように、国内外の主要企業のマーケティング担当者が最優先で取り組んでいる共通したテーマは、マーケティングツールとして、いかにソーシャルメディアを有効に使うか、ということです。マーケティングにSNSを利用する最大のメリットは、バイラル効果が期待できることです。バイラル効果とは、ウィルスのように情報が伝播する効果であり、たとえば、Facebookの「シェア」する機能は、ある人が気に入ったページを自分のウォールに貼り付けて友達に見せることができます。友達がそれを見て、やはり気に入ると、自分もシェアする、これらを繰り返すことで、情報は瞬く間に伝播していきます。

 また、Facebookを使う最もポピュラーなやり方としては、自社や商品のFacebookページを作成して、ファンを増やしていくやり方です。この手のハウツーはネット上にたくさん出ていますので、調べてみてください。その他、既存のホームページでも、FacebookのAPIを利用して、「いいね!」ボタンを埋め込むことで、そのホームページを気に入った人がFacebook上で広めてくれる、という手法もあります。

 SNSのマーケティング以外の利用で考えられるのは、企業内ソーシャルと呼ばれる、従業員同士、あるいは経営側と従業員側のコミュニケーションをより活性化させるためのしくみです。企業内に閉じたSNSを開設して情報交換を促すことで、クリエイティブな活動を促進したり、経営方針を各従業員に伝えたり、逆に、現場を任されている各従業員が収集した情報を経営層に上げていくことが可能になります。企業間競争が激しいこのご時勢には、必要なしくみではないでしょうか。しかし、企業内ソーシャルは、透明性がなければ機能しませんし、ローカルルールを決めておかないと無法地帯になったり、誰も利用しなくなったりする危険性がありますので、綿密なルール設計が必要です。

 いくつかのベンダーも企業内SNSへの取り組みに力を入れています。第1回のテーマ「クラウド・コンピューティング」の代表的企業「セールスフォースドットコム」は「ソーシャル・エンタープライズ」と銘打って企業内でのSNSの利用を広めようとしています。
グループウェアでシェアNo.1のサイボウズは、社内でのメールはやめ、すべてグループウェア上のメッセージサービスに切り替えることで、電子メールよりもさらに迅速な情報交換を目指しています。

 Facebookは2011年10月時点で世界でのユーザ数は8億人と発表されています。実に中国、インドについで、ネット上に存在する第3の大国となっており、海外のユーザとも簡単に連絡を取り合うことができます。日本企業はこれから海外進出が必須ですので、そういう面でもFacebookを使ってみることは、世界の動きの一部を知ることになるのではないでしょうか。SNSの利用について、面倒とか、所詮若者の間の流行でしかない、と切り捨てず、自社のビジネスに活用できないか、一度考えていただければと思います。

 いかがでしたでしょうか。
 3回にわたりお話したIT関連のテーマ、「クラウド」、「モバイル」、「ソーシャル」は現在のITにおいて最も重要であり、かつ互いに関連性のあるテーマです。御社のビジネスに少しでもヒントになれば幸いです。


■<講師プロフィール>
 藤川 英士(ふじかわ えいじ)
 広島市出身。1995年、早稲田大学大学院情報工学修了後、NTT(株)に入社。ヒューマンインタフェース研究所にて検索サービスのユーザインタフェースの研究に従事。
 2000年、ノイアンドコンピューティング(株)を設立。様々なウェブ/モバイル向けサービスの開発・運用を行う。
 2006年より(社)広島県情報産業協会常務理事。2009年よりHiBiS(広島インターネットビジネスソサエティ)運営委員長。安田大学非常勤講師。
 

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