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(33)省エネと環境経営について(第2回)


省エネと環境経営について(第2回)

エネルギーのこれまでとこれから ~ エネルギーのことを知ろう


 中小企業の経営者が抱える経営課題について、
専門家の方にわかりやすく解説していただいています。
 なお、このセミナーの内容は、当財団のホームページに「Webセミナー」として公開していますので、いつでも見ることができます。

鷹村 憲司
鷹村 憲司さん
 
 
エネルギーのこれまでとこれから
  ~ エネルギーのことを知ろう



 鷹村 憲司(たかむら けんじ)

  東和環境科学株式会社 理事
  技術士(環境部門、建設部門、総合技術監理部門)
  環境カウンセラー(事業者部門、市民部門)


電気料金の仕組

 前回の記事をご覧になられて、「じゃあ、うちもちょっと省エネをやってみるか」とお考えになった方も多いでしょう。そのためには、まず、電気料金の仕組みを理解しなくてはなりません。今回は、電気料金の仕組みを理解し、それが今後どうなるか、について考えてみましょう。まずは、電気料金の領収書である中国電力の「電気ご使用量のお知らせ」を手元に取り寄せ、見てみてください。
 中国電力の場合、電気料金のメニューは大きく低圧受電高圧受電・特別高圧受電があります。中小企業の場合、多くは低圧受電と思われますが、中には工場をお持ちの製造業などでは高圧受電の方もおられるかもしれません。この区分は、「電気ご使用量のお知らせ」の上の方の「ご契約種別」の欄に書いてありますので、容易に確認できます。この欄に従量電灯A、従量電灯B、低圧電力と書いてあれば、低圧受電です。

低圧受電の場合
 低圧受電の電気料金の計算式は次のとおりです。ポイントは、この式のうち「電力量料金」は使用量が大きくなるほど単価が上がっていくということです。一般的な買い物や運賃などでは購入量が大きくなると単価は下がりますが、電気は逆です。使えば使うほど単価は上がっていくのです!従って、対策はあたりまえですが、使用量をできるだけ減らすということに尽きます。


高圧受電の場合
 一方、高圧受電の場合は少し様相が違ってきます。高圧受電の電気料金の計算式は次のとおりです。ポイントは、この式のうち「基本料金」は最大需要電力(デマンド)で決まるということです。


     

 「デマンド」とは、30分単位で計算されたその月で最も大きい値のことです。そして、電気料金は、過去1年間の各月のデマンドのうちで最も大きい値が基本料金として採用され、契約電力となるのです。一度契約電力が決まると、その後の1年間に適用され、それ以外の月で省エネに努め、使用量をいくら削減しても基本料金は下がることはありません!(電力量料金は変わります)
 従って、重要なことは、30分ごとのデマンドを常に監視し、デマンドを超えないようピークカットすることです。この監視機器のことを「デマンド・コントローラー」といいます。ほとんどの企業では、一年の電力使用量が最大となるのは夏の午後2時前後です。これからの季節、この時間にポイントを絞りましょう。この夏、昼下がりにご注意を!

 

再生可能エネルギー買取り制度とは

 この夏から太陽光発電、風力発電などの「再生可能エネルギー買取り制度」がスタートしました。「リスクの大きい原発から、無尽蔵の再生可能エネルギーにシフトしていくことは大変いいことだ」とお考えの方も多いと思います。
 では、誰が何のために買い取るのでしょうか?これらの再生可能エネルギーの発電コストは、火力や(リスクを考えない)原子力に比べると大変高くつきます。エネルギー白書によれば、原子力の5~6円/kWhに対し、風力は10~14円/kWh、太陽光に至っては49円/kWhです。このままの価格ではこれらは普及しないので、政府と電力会社が差額を負担して買い取り、普及を促進させるのです。政府と電力会社が差額を負担・・・それは、もっと分かりやすく言えば、「税金」「電気代」です。政府と電力会社は間接的に負担するだけで、結局、私たちが負担するのです。電気代はこれから上がることが予想されます。そのための準備をこれからしておくことは、決して早いことではありません。いや、もう遅いかもしれません。
 では、どうすればいいか。答えは二つです。ひとつは、貴社にも再生可能エネルギーを取り入れることです。みんなで再生可能エネルギーの普及を進めれば、発電コストは下がり、それにより買取り価格が下がるため、結果として電気代は安くなります。もうひとつは、あたりまえのようですが、省エネをすることです。

 エネルギーなどの環境問題への対応が、企業経営にとって不可欠なものとなりつつあることをご理解いただけたでしょうか。これが「環境経営」です。次回の最終回は、否が応でも中小企業に押し寄せる「環境」の大きなうねりについてお話いたします。


■<講師プロフィール>
 鷹村 憲司(たかむら けんじ)
 昭和32年生れ。環境コンサルタントとして環境に関する様々な業務に従事するほか、広島県環境政策課に事務局を置く「ひろしま地球環境フォーラム」や「企業とコラボで環境学習事業」(広島市)の講師として小中学校への出前授業や、自治体や市民団体が主催する講演会・ワークショップの講師、eco検定の講習会の講師など多くの環境活動で活躍中。
 

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