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BCP(事業継続計画)とは(第3回)

中小企業が備えるべきBCPのポイント

 中小企業の経営者が抱える経営課題について、専門家の方にわかりやすく解説していただいています。
 なお、このセミナーの内容は、当財団のホームページに「Webセミナー」として公開していますので、いつでも見ることができます。

薗田 恭久
薗田 恭久さん
   中小企業が備えるべきBCPのポイント

    薗田 恭久(そのだ やすひさ)
    有限会社薗田経営リスク研究所
    代表取締役・中小企業診断士




■中小企業が備えるべきBCPのポイント

 中小企業のBCP策定率は、大企業に比べ非常に低いといわれています。中小企業のBCP策定は何故進んでいないのでしょうか。私はその理由の中で特に問題であると捉えているものがあります。それは、理解の問題、作り方の問題の2つです。以下、これらの問題への対応について解説したいと思います。

■理解の問題について

 企業でBCP導入の意味を考えるときに、どうしても防災対策から入ってしまうところが多いようです。BCPと防災計画はどのように違うのか・・・などといったところからの検討がその例です。
 導入の段階でアプローチを間違えると、BCPの本質を見失うケースが考えられます。日本ではBCPのことを、"事業継続計画"と一般に訳しています。私はこれを、"事業継続のための経営戦略計画書"と説明しています。
 つまり、BCPは、経営戦略の目線に立って、日頃の事業計画書や経営計画書と同様な考え方で捉えて欲しいのです。むしろ、これは企業の将来を見据えた企業存続のためのリスクマネジメント戦略なので、もっとレベルの高い優先すべき経営計画書の一種なのかも知れません。
 また、このBCP策定は"費用(コスト)"と捉えるところも多いようです。この発想も修正が必要と思っています。むしろ、BCPを策定している企業はリスクマネジメントが行き届いており、仮に大きな災害等に遭遇してもそれを克服して自社との取引を全うしてくれるリスクに強い企業という意識を創る"ビジネスパートナーとの取引契約の維持や新たな締結のためのビジネスツール"と捉えていただきたいのです。
 大きな災害が発生することによる施設や設備等への直接の被害も経営への影響は大きいのですが、むしろこのことによって長期の事業中断が発生し、取引先との取引停止などによりお客をなくすほうが企業存続に大きな影響を与えることになるでしょう。一度失ったお客を取り戻すことは容易ではありません。
 このBCPは、"費用(コスト)"だけではなく、"売上を維持・創造するための投資"との認識が重要です。
 是非、BCPは経営戦略上の必要不可欠な重要なものであるとの理解をもっていただきたいと思います。

■作り方の問題について

 BCPの作り方はさまざまです。様式についても決まったものは無いのです。
 人材、組織力、資金などが磐石な大企業では、じっくりと細かいところまで検討を進め、たとえばISO22301(国際規格)などの認証を視野にいれたものを作る場合もあります。また、業界団体等が推奨するフォームにしたがって作成する場合もあります。BCPの作成は、自社の業種、業態、規模、自然環境、人材、資金等を勘案し、自社の経営状況に応じた"身の丈に合った"ものが望ましいと考えます。
 最初から立派なものを作ろうとすると途中で挫折したりします。また、仮に立派なものができてもあまりに細かいものであると理解しにくくなり、結局使われなくなる恐れさえでてきます。
 一方で、あまりに簡単なものや雛型の転記という形では、自社の事業運営に沿ったものではなく、実際の運用には用を成さないものとなるでしょう。"身の丈に合った"とは、BCP策定への費用対効果の判断が、自社にとって程よくバランスの取れたものであることを意味しています。
 BCPはBCM(事業継続管理)のマネジメントサイクルの考え方にしたがって、毎年見直しをかけていきます。最初から完璧なものを望まず、数年をかけて、自社に真に合ったものを作り上げるという考えの基に、"まずは初版を作ってみよう"という心掛けが重要かと思います。
 ただ、作るにあたっては、BCP構築のフレームは基本に則ったものを意識しながら進める必要はあるでしょう。その点で、次のような作成支援ツールを活用されると効果的でしょう。


●中小企業BCP策定運用指針
http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

●大分県業種別BCP事例集・モデル企業のBCP全編
http://www.pref.oita.jp/soshiki/14030/bcp2012.html

●福岡県中小企業団体中央会BCP策定マニュアル・BCP策定事例
http://www.chuokai-fukuoka.or.jp/bcp/index.html

 これまで多くの中小企業向けのBCP作成支援を行ってきましたが、以上のようなポイントを押さえてBCP策定に臨んでいけば、中小企業でも作成することは決して難しいものとは思いません。
 最後になりますが、広島の多くの企業がBCP策定に着手され、末永く繁栄されることを切に祈念しております。


■<講師プロフィール>

 薗田 恭久(そのだ やすひさ)

 企業勤務を経て同僚と情報通信関連企業を起業し、取締役・常務取締役・代表取締役を歴任、14年にわたる企業経営実務を経験。その後経営コンサルタントに転身。 専門分野は、事業承継支援、知的資産経営支援、BCP(事業継続計画)・BCM(事業継続管理)を含む企業リスクマネジメント支援など。個別企業の経営コンサルティングを実施するとともに、中小企業大学校、金融機関、商工団体、自治体等が実施する研修の講師を務めている。現在、独立行政法人中小企業基盤整備機構九州本部・事業承継コーディネーターおよび経営支援アドバイザーも兼ねる。

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