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広島市中小企業支援センター

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  1. 広島市中小企業支援センター

地域経済循環について考える(第2回)

中小企業の経営者が抱える経営課題について、専門家の方にわかりやすく解説していただいています。
 なお、このセミナーの内容は、当財団のホームページに「Webセミナー」として公開していますので、いつでも見ることができます。

若本 修治さん
若本 修治さん

中心市街地のコインパーキングは「耕作放棄地」と同じ?

若本 修治(わかもと しゅうじ)

ダブルスネットワーク株式会社 代表取締役

中小企業診断士・インテリアコーディネーター・福祉用具専門相談員

ひろしま産業振興機構専門相談員・広島市中小企業支援センター窓口相談員

<NPO法人住環境デザイン協会 副理事長>

今、中国地方の中山間地や瀬戸内海の島しょ部でも『里山資本主義』や『里海資本論』など、豊かな自然を取戻して都会から農村部への若者の移住も積極的に取り組まれています。しかし、急速に高齢化と過疎化が進む中、少しばかり農林水産業の担い手が増えたとしても、県内総生産の向上にはほとんど影響を与えないでしょう。耕作放棄地の増加スピードを少し緩めるくらいの効果しかありません。

一方、広島市など都市の中心部で急速に増加しているのがコインパーキング。老朽化したビルが解体され、新たな商業ビルやオフィスビルが建てられることなく、景気の様子を見ながら「暫定利用」として中心市街地に増殖しています。駐車場不足のため郊外の大型ショッピングセンターにお客を奪われた地元商店街の商店主は、お店近くにコインパーキングが出来ることを歓迎しているようです。また市民の側も、市営の地下駐車場や立体駐車場から歩いてお店まで行くよりも、気軽に入出庫できるコインパーキングが点在しているほうが、利便性が高いと感じているのでしょう。

しかし冷静に考えてみると、元々のビルで得られていた「賃料収入」や「営業収益」、そして「雇用」は失われ、地価の高い貴重な土地が"車のためだけに"割かれているというのが現実です。元々お店が連続して賑わっていた通りは、コインパーキングが増えることで車の入出庫のために歩道は分断され、子供や高齢者が安全に街歩きできる空間ではなくなりました。しかもお店の連続は断ち切られ、徐々に賑わいは失われていくのです。

土地を所有している限り、固定資産税や相続税など、維持するためのコストが掛かるため、自宅以外に土地を所有している地主は土地から収益をあげようとします。農村部ではそれが「農業」や「林業」となり、都市部では「借家経営」や「賃貸ビル経営」などになってきました。しかし今や過疎地域では『耕作放棄地』が増え続け、都市部では『コインパーキング』が増殖しています。まさにコインパーキングは"都市の耕作放棄地"といっても過言ではないのでしょうか?歯抜け状態の都市景観は、都市の高齢化も同然です。

本来、人が集まり土地活用の需要が高いからこそ高い地価が維持され、地方自治体もその地価に応じた固定資産税収入を得てきました。さらに賃貸ビルを建設することで、建物の固定資産税やそのビルで働く人たちの市民税、法人事業税、雇用の創出などが期待できていたのです。従ってコインパーキングの増殖は、個人の土地所有者だけの問題ではなく、その都市と自治体の衰退さえ加速させるのです。

さらにコインパーキングの管理が県外の業者に委託されていれば、相続が発生した時にその『暫定利用』の土地活用がどの会社に相談されるか想像に難くありません。相続人が遠方に住んでいれば、ほぼ確実に地元企業の商談の機会も失われるのです。だからこそ都市経営には長期の戦略が欠かせません。

中心市街地のコインパーキングは「耕作放棄地」と同じ?

■<講師プロフィール>
 若本 修治(わかもと しゅうじ)

昭和59年福岡大学工学部建築学科卒業後、株式会社布谷に入社。その後、株式会社リック工房等の勤務を経て、平成13年に、ダブルスネットワーク株式会社を設立し、現在に至る。また現在、広島市中小企業支援センター登録専門家として、建設業、小売流通業の販売促進等について支援を行っている他、国民住生活の安心・安全の確保と、地域社会の健全な発展に寄与することを目的として平成22年に設立された、一般社団法人全日本インスペクターズ連合会の常務理事を務めている。

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