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中小企業の経営者が抱える経営課題について、専門家の方にわかりやすく解説していただいています。
なお、このセミナーの内容は、当財団のホームページに「Webセミナー」として公開していますので、いつでも見ることができます。
PRパートナーシップ広島 代表
農業者や漁業者などが食品加工や流通販売も手がけて収益を増やそうというのが「6次産業化」です。原材料から商品に姿を変えるわけですが、付加価値となる「情報」が気になります。製造者名や製造年月日、賞味期限など法律で決められた情報は表示されますが、そうした情報以外に消費者の購買意欲をそそる「わくわく感」が必要だと思います。
現在、広島市中小企業支援センターなど公的支援機関でPR広報の専門家の仕事をしています。「商品を上手にアピールし、販売増につなげたい」という相談をよく受けます。知名度を高め、商品やサービスの売り上げ増につなげるPR(パブリックリレーションズ)は、情報が受け手に理解され、魅力を感じてもらうのが目的です。コピー(宣伝文句)やデザインなどをトータルした情報の中にわくわく感が込められれば「あっぱれ」、そうでなければ「喝」になってしまいます。
私がイメージするわくわく感について、最近10年ぶりに訪れた米国西海岸サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフを例に説明しましょう。初めて訪れたのは学生時代の40年も前のことですが、この有名な観光地の魅力は増すことはあっても廃れることはありません。フィッシャーマンズワーフとは「漁師の波止場」。新鮮な魚介類が味わえるレストランが軒を連ねるだけでなく、博物館になった潜水艦、ショッピングセンターなどがひしめき、大道芸やファーマーズマーケットなど多彩な見所があります。透き抜けるような青空、目の前のサンフランシスコ湾に浮かぶのは有名な元刑務所のアルカトラズ島。自然、戦争と平和、恋の予感...など魂に響く素材がそろっています。これでリピータにならなければ不思議です。
有名なフィッシャーマンズワーフの看板
人気のピア39は人だかり
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午前中でまだ人出の少ないファーマーズマーケット | 観光客と一緒に盛り上がるサックス大道芸 |
フィッシャーマンズワーフにあるような、わくわく感たっぷりの情報は6次産業化だけでなく、ほとんどのビジネスに必要といえます。新しい商品やサービスをアピールする際に、情報発信の成功率を高めるには、専門家の意見を参考にするのも近道かもしれませんが、生産者が主役となるためには、日ごろからPRのセンス、すわなち、わくわく感に対する感受性をトレーニングしていただきたいと思います。
メディアからもたらされる大量の情報の中から、これはと思うものを自分ならどう使うか、表現するかを想像してみましょう。地域の歴史、これまで歩んできた人生...。頭の中で夢想するだけでも、わくわく感を見つけ出すきっかけになるかもしれません。まず自分自身が面白いと感じ、興味を持てるようにアンテナの感度を高めるところから。もちろん費用はかかりません...。青い鳥と同じように、わくわくする情報、あるいはヒントは案外身近にあるものだと思います。
■<講師プロフィール>
吉田 光宏 (よしだ みつひろ)
PR&ビジネスプランナー/メディアコーディネーター/ジャーナリスト。
新聞社勤務の後、1999年独立。
環境問題、農林水産業などを中心に幅広く取材、執筆活動をしている。
並行して企業や団体などのPR広報の支援、文章作成やプレゼンテーションの指導にも取り組んでいる。
日本環境ジャーナリストの会、農政ジャーナリストの会会員。
著書に『農業・環境・地域が蘇る 放牧維新』(家の光協会)、『広島県の農業を知るとカープを応援したくなる』(PRPH)など多数。