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(79)「形の無いサービスに価値を持たせる」(第3回)

「形の無いサービスに価値を持たせる」(第3回)


 中小企業の経営者が抱える経営課題について、専門家の方にわかりやすく解説していただいています。
 なお、このセミナーの内容は、当財団のホームページに「Webセミナー」として公開していますので、いつでも見ることができます。

西方 康子 さん

サービスに価値を持たせるための取組み


西方 康子(にしかた やすこ)

Nサポート 代表


 前回紹介しましたように、サービス業を継続していくためには、顧客にその価値を認識していただき、リピート利用していただく必要があります。

 そのためサービスの提供側には、生産性を向上させ、適正利益と時間的余裕を生み出し、従業員に還元し、従業員のモチベーション向上、情報共有など、基盤づくりが求められます。

  • 1.生産性向上のための取組み
  •  経済産業省は、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」のなかで、現場でサービスを提供する「人」が『付加価値(※1)』の源泉であり、従業員一人当たり(もしくは時間あたり)の生産性を上げることが重要としています。すなわち「労働生産性の向上」です。

  • 労働生産性を向上するためには大きく分けて、2つの方向性が存在します。
  • (1) 付加価値の向上提供するサービスの価値を増大させる(売上げ向上)
  • (2) 効率の向上時間や工程の短縮(コスト削減)

  • 参考資料:中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン
  •  経済産業省 NewsRelease 平成28年2月5日

<誰に>

新規顧客層
への展開

商圏の拡大

<何を>

独自性・独
創性の発揮

ブランド力
の強化

顧客満足度
の向上

<どのように>

価値や品質
の見える化

機能分化・
連携

IT利活用

記号

付加価値の

向上

記号




サービス提供プロセス
の改善
IT利活用

 ・横断的課題

(人づくり、環境づくり)

効率の

向上


  •  そして、労働生産性を向上するためには、2つの方向性と共に下記の4点が必要です。
  • ①自社の理念に立ち返る
  • ②事業コンセプトを確立する
  • ③自社の現状を分析する
  • ④見直しとブラッシュアップをする

  • ※1. 『付加価値』というものは、「営業利益」と「人件費」、「減価償却費」の合計です。

  • 2.付加価値向上のための売上げ向上について
  •  売上高の構成要素は飲食業、理・美容業などの業種ですと、「客単価」×「設備単位数(座席)」×「回転数」となります。また、労働集約的な業種ですと、「従業員一人当たりの売上高」×「従業員数(稼働時間)」となります。また、リピート率・利用頻度も重要な構成要素です。
     この構成要素の一つ一つを向上させていく必要があるのです。どれか一つ疎かになっても売上げに結び付かなくなります。

     では、一体顧客は何を求めているのでしょうか。たくさんあるサービスの中から、どうしてそのサービス・お店を知り、選択しているのでしょうか。また、リピート利用しているのでしょうか。
     例えば、髪をカットするだけでしたら、身内でできるでしょう。でも、もっと格好よくしたい、自分に合ったものにしたい、あるいは変身したいという気持ちで理美容院を利用します。
     しかし、顧客は、サービスに対する信頼性、お店の雰囲気、スタッフとの会話、心地よさ、サービスを受けた時の効果、他の人の感想など、期待と不安があります。それは、数値では測りきれないものです。
     期待を超えた、価格以上の総合的なものに対し、満足し、ロイヤルティ(忠誠心、思い入れ)が増し、当サービスのファンとなって、リピート利用に繋がっていくのです。

  •  顧客のニーズに対応し、気持ちに寄り添っていくには、丁寧な対応が求められ、一見サービスの向上と生産性は相反するように見られます。これは、表に立つ一人のスタッフの特別な「頑張り」によるものではなく、後方を支援するスタッフを含めて、全員が前向きに組織として、システムとして継続して取り組む必要があります。

     また、時代の流れと共に、仕組みづくりやノウハウの必要性が変化してきます。常に事業を見直す必要があります。だからこそ常に、自社の理念に立ち返り、全社の意識のベクトル(方向性)を合わせる必要があります。そして、言葉では伝えきれない「形の無いサービス」を、常に自覚して、見直し、磨き続ける必要があるのです。


■<講師プロフィール>

西方 康子(にしかた やすこ)

中小企業診断士
経営全般、特に商業・サービス業の創業から事業拡大期、新分野進出等支援。
事業者視点のみならず生活者目線での助言、また、仕事と家庭のワーク・ライフ・バランスを重視した取組みについて支援している。

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