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(91)創業に向けて(第3回)

創業に向けて(第3回)

藤井  好宏さん

「創業に関して見える化すること」

藤井 好宏(ふじい よしひろ)

株式会社藤井事務所 代表取締役

 事業成功のためには、会社内外の環境を「見える化」したうえで的確に分析し、自分の会社に相応しい適切な効果的な戦略・戦術を決定することが重要です。

  • 1.見える化しておきたいもの
  • (会社内部の環境)
  • 自社の売りや特に他社に優ること(強み)、自社のもう少しテコ入れが必要なこと(弱み)
  • (会社を取りまく周りの環境)
  • 自社に良い影響を及ぼす外部の環境(機会)、悪影響を及ぼしかねない外部の環境(脅威)

  • 見える化しておきたいもの


  • 2.「強み」と「弱み」の整理の際のポイント
  • (1)強み=できること
  •  私は、創業セミナーや経営計画策定セミナーにおいて「強みを整理する」という演習を必ず行いますが、ほとんどの方が自社(自分)の強みをピックアップすることができません。それは、他社に明らかに優るもの、胸を張って自信を持って「強み」といえるものがないことが理由です。実際は、胸を張って本当に「強み」といえるものを持った会社は、ほんの一握りなのではないでしょうか。
  •  演習中に困っている皆様に、このように言います。「『できること、できていること』をピックアップしましょう。できれば皆さまが、こだわっていることで。他社と比較することはしないで。」と。「強み=できること」で良いのではないでしょうか。そのことが自信につながりますし、「できる」ことをさらにできるようにすれば「強み」に育っていくはずですから。
  •  例えば、お客様対応においてこだわっている「笑顔とあいさつ」ができているなら、どこも追随できないレベルにまで上げていけば、それが最大の「強み」になるのではないでしょか。その他、自社がこだわってできている何かを徹底して磨き上げれば、他社と比較しての「強み」ではなく、独自性としての「強み」となり、それは市場創造となり、一人勝ちも可能にするのです。

  • (2)弱み=できるようになるためにテコ入れが必要なこと
  •  「弱み」はポジティブに見える化したいものです。弱点をただ並べたのでは、前向きな取り組みにつなげることは難しくなります。
     見える化すべきは、「やるべきことでやってないこと、やったほうが良いのにやってないこと」、つまりテコ入れすればできるようになることです。
     ポジティブな視点の「弱み」の解消は、「強み」の発揮をフォローすることになるため、非常に重要な取り組みとなります。

  • (3)知的資産
  •  強みにはそれをもたらす要因があります。例えば、「強み」が「どこよりも高品質の製品ができること」だとすると、それをもたらす要因は「熟練工が多い」、「独自ノウハウがある」などであり、それが「知的資産」です。  強みと知的資産との関係をシンプルに表現しますと、「『できる(強み)』ために『持っているもの(知的資産)』」となります。
  •  一方、「できない(弱み)」のは、知的資産を持っていない、または知的資産をあまり持っていないからなのです。

  • (4)知的資産とアクションプラン
  •  アクションプランとは、目標、目的達成に向けて、5W2Hと言われる「市場・商圏(どこで)」「取り組み項目(何を)」「目的(何のため)」「具体的取り組み方法(どのように)」「期限(いつから、いつまで)」「担当部署・担当者(誰が)」「個別目標(いくら、どれくらい)」などを明確にした具体的行動計画のことです。
  •  アクションプラン策定は難しく感じてしまいがちですが、持っている知的資産の一層の強化・増加の方法や新たな活用方法を行動計画にしたり、また、持っていない知的資産の保有方法や少ない知的資産の増加方法を行動計画化にすることで、有効なアクションプランを策定することができます。

  • 3.見える化のためのフレームワーク
  • SWOTクロス分析
  •  SWOTクロス分析は、見える化した、自社(内部環境)の「強み」と「弱み」、自社を取りまく周りの環境(外部環境)の「機会」と「脅威」を分析し、内部環境と外部環境の有効な組合せから適切な戦略を導き出すフレームワークです。

  • SWOTクロス分析
    ※「強み」と「機会」の有効な組合せが戦略として最も有効であり、「弱み部分のテコ入れ」がその組合わせの有効性をより強めることも多い。


    (街の個人事業の電器店の例)
    SWOTクロス分析(街の個人事業の電器店の例)


  • 3C分析
  •  3C分析は、自社状況とお客様(市場)ニーズ・動向と競合状況の3つの切り口の分析から成功要因を導き出し自社の戦略に活かすフレームワークです。
  • 3C分析


  • (3C分析により成功要因を導き出す流れ)
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  •   (焼き鳥店の例)

    (焼き鳥店の例)



  • 4.「ポジショニングマップ」で自社のポジションが確認できる
  •  自分がやろうとする事業は市場のどこに位置付けされるのかを確認しておくことも大切です。
     ポジションが分かれば、そこが激戦市場なのか空白市場なのかなどがわかり、自分がやろうとすることの妥当性が明らかになります。それにより、必要な修正が早い段階でできるため、事業成功の可能性が高まることになります。
     そのためのフレームワークが「ポジショニングマップ」です。
     ポジショニングマップは、「自社商品の「特性(価値や強み)=何を」「市場動向・ニーズ=誰に」「自社のこだわり(価値や強み実現方法)=どのように」などから、キーワードを2種類出し、それを縦軸と横軸に設定し、できた4象限の中に、自社と他社を位置づけしていくものです。
     キーワードを変えて繰り返すことで、事業成功の可能性がより高いポジションを見極めることができ、結果、事業コンセプト(「何を」「誰に」「どのように」)を明確にすることにもなります。

  • (電器店のポジショニングマップの例)
  • (電器店のポジショニングマップの例)

  • (事業コンセプトの例)
  • (事業コンセプトの例)


■<講師プロフィール>

株式会社藤井事務所

代表取締役 藤井 好宏

大学卒業後、損害保険会社勤務を経て、株式会社藤井事務所を設立。
「頑張る人の夢と元気をサポート!」を経営理念に、中小企業診断士として企業の経営サポートを行うとともに、商工会議所主催の創業塾の講師を務める。

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