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技術情報の提供(技術振興部 材料・加工技術室) 『超微小押し込み硬さ試験機の紹介』 |
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硬い、軟らかい等の硬さを示す言葉は、日常生活の中でも多く使われています。工業の発展とともに金属、セラミックス等の材料や熱処理、表面処理等の表面改質の評価法として、従来より、ブリネル硬さ、ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ等の、様々な硬さ試験方法が、目的に合わせて発案され活用されています。一般的に、硬さ試験では、ダイヤモンドや鋼球の圧子を試験体に押し付けて変形を与え、その際の変形の形状や抵抗を計測することで硬さ値を求めます。 超微小押し込み硬さ試験は、従来の硬さ試験機(0.01N(10gf)~)と比較して、非常に小さい試験力(0.098mN~980mN)での硬さ試験です。このため、試験体に与える変形が非常に小さく、従来の硬さ試験機では不可能であった超微小領域の硬さ試験が可能となります。図1は、真鍮にニッケルめっきと金めっきを施した部品のめっき施工部の断面部で、超微小硬さ試験を行った後の観察結果です。約1μm(1μmは1/1000mm)程度の膜厚の金めっき断面部に、硬さ試験のときに圧子を試験片に押し付けることで出来た圧痕(変形痕(くぼみ))が確認されます。この圧痕深さから硬さを評価します。 |
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また、数μm以下の非常に薄い金属表面処理皮膜の硬さ試験を行う場合でも、従来の試験方法では、荷重(試験体に押し付ける力)が大きいために、下地の影響を考慮する必要性がありましたが、本試験機では超微小荷重の負荷による高精度の試験が可能であるため(くぼみ深さは数nm(1nmは1/1000000mm)程度)、皮膜のみの硬さ試験を行うことができ、皮膜特性の評価が可能です。この時、圧子を試料表面へ押し込む過程の荷重と変位の変化の関係をもとに、試験材料の硬さ等の特性を評価します。弾性変形(加えた力を除いたときに元に戻る変形)、塑性変形(加えた力を除いたときに元の形に戻らない変形)を別々に、または、同時に評価するため、材料の性質(弾性、塑性)に関係なく材料の硬さやその他の特性が評価できます。例えば、従来同じ試験条件の下では試験を行うことが困難であった金属材料とプラスチック材料を同じ試験機を用いた、同じ試験条件の下で試験が行えるため、その試験結果を比較検討することが出来ます。 超微小押し込み硬さ試験の試験結果の解析方法については、ISOによるものとJISによるものがあり、それぞれISO14577-1およびJIS Z 2255が対応します。得られる硬さの呼び名称は、それぞれマルテンス硬さ(HM)および超微小負荷硬さ(HTL)となります。
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