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技術支援アラカルト

広島市産業振興センターNEWS 第157号(2015.2.16)

広島市産業振興センターNEWS
技術アラカルト
   第12回「ISO9001及びISO14001の2015年改正のポイント」

 技術振興部長の國司(くにし)です。早いもので今年も1カ月半が経ちましたが、遅ればせながら、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 ISO9001とISO14001が今年大幅に改正される予定です。ISO9001の改正は7年ぶり、IO14001の改正は、1996年の発行以来、初めての抜本的な改正となります。今回の改正ではマネジメントシステムとして本当に機能する規格にするため、様々な新しい要求事項が追加される予定です。現行規格は改正規格発行から3年間が経過した時点で廃止されるため、この期間が移行期間となり、2015年に改正された場合、2018年には改正規格に移行しておく必要があります。そこで、今回は、ISO9001及びISO14001の2015年改正のポイントについて述べてみたいと思います。なお、今回の内容は、今後の規格改正作業の進行に伴い、変化する可能性があることをご承知おきください。

 今回の改正の背景には、ここ数年、ISO認証取得件数が減少傾向にあることからも推察できるように、ISO9001やISO14001の形骸化が懸念されていることがあります。このような背景から、今回の改正のポイントは、以下の2つであり、マネジメントシステムの要求事項を組織の経営戦略や事業プロセスに統合することにより、形骸化を解消し、従来以上に経営ツールとして使いやすくなるよう目指しています。

 

マーク1 品質、環境、情報セキュリティ、食品安全、CSR等のマネジメントシステムの共通要求事項を共通化することで、複数のマネジメントシステムの統合化(両立性)を図る
マーク2 品質、環境、情報セキュリティ、食品安全、CSR等のマネジメントシステムの要求事項と組織の経営戦略・事業プロセスとの乖離を解消する

 それでは、今回の改正のポイントについて説明します。まず一つ目のポイントは、現在、マネジメントシステム毎にバラバラになっている要求事項を、共通のマネジメントシステム要求事項に品質、環境等の個別のマネジメントシステムの固有要求事項を追加する構造とすることです。これにより、品質、環境等の個別のマネジメントシステムがそれぞれ単独で機能するのではなく、両立して機能できるようになり、マネジメントシステムのより効果的な運用が期待できます。
 共通のマネジメントシステム要求事項をまとめたものが「附属書SL」であり、2012年に共通テキストとしてまとめられました。今回の改正も「附属書SL」に従った箇条1から箇条10までの構成となります。箇条3までは序文や参考文献、用語の定義なので、実質的に移行審査で確認するのは箇条4以降となります。附属書SLの全体構成及び改正の構造の概念図を以下に示します。

附属書SLの全体構成

序文
1 適用範囲
2 引用規格
3 用語及び定義
4 組織の状況 4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 XXX マネジメントシステムの適用範囲の決定
4.4 XXX マネジメントシステム
5 リーダーシップ 5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.2 方針
5.3 組織の役割、責任及び権限
6 計画 6.1 リスク及び機会への取組み
6.2 XXX 目的及びそれを達成するための計画策定
7 支援 7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化した情報
8 運用  8.1 運用の計画及び管理
9 パフォーマンス評価 9.1 監視、測定、分析及び評価
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー
10 改善 10.1 不適合及び是正処置
10.2 継続的改善

改正の構造の概念図

改正の構造の概念図

 二つ目のポイントは、ISOは経営に資するマネジメントシステムというよりは、対外的に必須で形式的なルールとして多くの企業において取得されてきました。その反省を踏まえ、経営戦略や事業プロセスにISO9001、ISO14001をしっかり組込み、経営に資するマネジメントシステムとして、本業の中で要求事項を活用することを求めているところです。これにより、使い勝手のよい経営戦略、事業プロセスの管理ツールとしての活用を期待することができます。以上の2つのポイントにより期待する効果をイメージ的に表すと下図のようになります。

 

改正によって期待する効果

 また、2つのポイントの他に是非知っておいていただきたい主な変更点として、リスクを基礎に置く考え方が重視されているということが挙げられます。これは、組織として取り組む必要があるリスクを明確にし、その対応方法を決定することを要求するものです。現行規格の予防処置に対応しているともいえますが、2015年改正規格では、自組織におけるリスクをより広い視点でとらえることが要求されています。具体的には、製品の欠陥・クレームや情報漏えいなどの組織内部のリスクばかりでなく、取引先の倒産、景気変動、災害やテロなどの外部のリスクにも目を向ける必要があります。

 冒頭でも触れましたが、新規格への移行期間が3年と限られている中、今回の改正の意義・目的や主な変更点を理解し、なるべく早い時点で認証のための移行計画を立てることが肝要です。ISO2015年改正のほんのさわりしか紹介できておりませんが、今後の対応のきかっけになれば幸いです。

■問い合わせ先
  技術振興部(広島市工業技術センター内) 
  TEL 082-242-4170(代表) 
E-mail  kougi@itc.city.hiroshima.jp


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