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中央図書館からのおすすめ本(176)『江戸式マーケ』 |
毎月、中央図書館が推薦するビジネス支援情報の図書をご紹介しています。
なお、これまでに紹介した本については、当財団のホームページに「中央図書館からのおすすめビジネス図書」として公開しておりますので、いつでも見ることができます。
川上 徹也/著
文藝春秋
「シェアリングエコノミー」「ソーシャルビジネス」「デザイン経営」は、今日のビジネスで注目されるキーワードですが、400年も前の江戸時代にはすでに実践されていたとすれば驚きではないでしょうか。本書に取り上げられている、江戸時代のビジネス戦略からいくつか紹介しましょう。
三井高利は、呉服は掛け売りが一般的だった江戸で現金正価販売をして成功を収めました。他にも、ロゴマークが大きく入った傘の無料貸出によるPR、移転オープンの際のチラシを使った大々的な広告など様々な戦略を打ち出し、経営学者のドラッカーに「三井家の人間によってマーケティングは発明された」と言われています。
豊島屋十右衛門は、不景気の中、酒の「原価販売」で店を繁盛させました。この「原価販売」は大量注文で仕入れ値を下げ、空になった酒樽を仕入れ値の1割程度で売ることによって成り立っていました。他店の「原価」が豊島屋にとっては利益の出る値段だったという訳です。
他にも大丸、山本山、にんべんなど創業300年以上の老舗や蔦屋重三郎、紀伊国屋文左衛門といった商人の、今も最先端な50のビジネス戦略が、イラストとともに分かりやすく紹介されています。顧客のニーズを読み、前例にとらわれない戦略は、商売の本質は不変であることを教えてくれます。「温故知新」という言葉がありますが、江戸時代の商人たちから新しいビジネスのヒントが得られるのではないでしょうか。