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技術情報の提供「下水管の管更生用材料に関する試験の紹介」

広島市産業振興センターNEWS

 技術情報の提供

 「下水管の管更生用材料に関する試験の紹介」


 下水道は私達が健康で安全な生活を営むための社会インフラの1つです。その役割は(1)周辺環境の改善、(2)便所の水洗化、(3)浸水の防除(雨水の排除)、(4)公共用水域の水質保全、と4つの役割があります。

 下水道の敷設開始から50年以上と相当な年数が経過しており、これに伴い下水管の老朽化(劣化)が進んでいます。広島市も例外ではなく、一部では下水管管路の劣化に起因する道路陥没等が発生しています。

 そのため、現在、低コストの様々な工法による既設下水管の延命化(管更生)が、順次行われています。下水管の管更生工事等を行った際には、長期使用の実態を考慮し、その工事の使用材料の信頼性に関する試験を行う必要があります。

 ここでは、下水管の管更生に使用する材料について、当センターに依頼のあった試験の概要をご紹介します。

 

●曲げ試験

 曲げ試験は、主に強化プラスチック複合管等による管更生工事を終えた際、下水管内部に硬化形成された材料の機械的性質を測定する試験です。

 ここで、工法の1つであるオールライナーZ工法について、施工の流れを簡単に説明します。まず、工場で生産された更生用ホースを既設下水道管内に引き入れ、ホースに水圧または空気圧を加えて拡張させます。その後、拡張させたホース内部に温水または蒸気を循環させて樹脂を硬化させます。

 下水管は、道路下に埋設され、車や地盤等からの外圧等にさらされる環境です。このような環境下では、使用する材料に高い強度が求められます。そこで、材料の機械的性質を調べるために曲げ試験を行います。試験はJIS K 7171プラスチック-曲げ特性の求め方に準じて行います。曲げ試験の流れは次のとおりです。

 まず、試験片の厚みから負荷を与える速度等を算出します。次に、試験機に試験片を設置(写真1参照)し、先に算出した速度で試験片に曲げ負荷を与えていきます。負荷を与え続けると、最終的には試験片は破損します(写真2参照)。試験片が破損するまでに得られる最大の曲げ負荷を測定し、その値から試験片の曲げ強さを算出します。

 

試験片の設置(試験開始前と試験終了) 

●耐薬品性試験

 耐薬品性試験は下水管の管更生に使用する材料について、液体薬品への浸せきによる変化を評価する試験です。下水管は、生活排水・し尿等の汚水が流れる環境であり、このような環境下での材料の耐性を調べるために耐薬品性試験を行います。試験は、日本下水道協会規格(JSWAS)に準じて試験します。なお、下水管で使用される材料の材質は、下水道用硬質塩化ビニル管、下水道用ポリエチレン管等があります。耐薬品性試験の流れは次のとおりです。

 まず、試験前の試験片の質量を測定し、水、酸性液体、アルカリ性液体等の各種液体の濃度調製を行います。次に、濃度調製を行った各種液体の入った容器をウォーターバス(恒温水槽)で加温し、温度が一定になるように調整した後、一定時間試験片を容器中の液体に浸せきします(写真3参照)。一定時間経過後、試験片を流水洗浄し乾燥させた後に重量を測定し、試験開始前と比較して、試験片の質量変化を調べます。

 

耐薬品性試験の様子(ウォーターバスで液体の入った容器を加温中(左)と容器の中の試験片(右))
 写真3 耐薬品性試験の様子(ウォーターバスで液体の入った容器を加温中(左)と容器の中の試験片(右))

 

 下水管の管更生工事に使用する材料の試験は、今回紹介した曲げ試験と耐薬品性試験以外にも、引張試験、圧縮試験を実施することもあります。

 当センターでは、引張試験や圧縮試験なども受け付けていますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

■問合せ先

 工業技術センター 材料技術室

 TEL 082-242-4170(代表)

 E-mail:kougi@itc.city.hiroshima.jp

 

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