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技術情報の提供「流体と構造の連成解析事例の紹介」

広島市産業振興センターNEWS

技術情報の提供

「流体と構造の連成解析事例の紹介」


  •  システム技術室では、デジタルエンジニアリング技術を活用した、地域企業の製品開発支援などを行っています。今回は、令和2年度に導入した三次元CADシステムを使用した数値解析の事例を紹介します。

    図1に示す、カメラと設置用金具を模した3Dデータを用いて、流体解析と構造解析の連成解析を行い、設置用金具の強度が十分か否かを確認しました。流体解析は製品の内部や外部の流体の流れを検証する手法で、構造解析は製品の強度を検証する手法です。

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  • ■ 使用したソフトウェア
  • ・流体解析:Simcenter FloEFD for Solid Edge
  • ・構造解析:Solid Edge Simulation Advanced
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  • ■ 解析の内容
  • (1) 流体解析
  •  図1(a)の矢印の方向から、風速30メートル毎秒の風が吹いてくる状態を解析しました。
    流体解析では、使用する流体の種類、大気圧、温度、乱流の条件、解析を行う空間の大きさなどを解析条件として設定します。Simcenter FloEFD for Solid Edgeでは、定常解析と時間変化に対応した非定常解析を行うことができます。今回は、流れが複雑でなく定常と非定常で得られる結果に大きな差がないと予測できるため、定常解析を実施しました。解析の収束判定に抗力係数を使用して、カメラと設置用金具の表面の圧力分布を求めました。
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  •  20230915-5-1.jpg
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  • (2) 構造解析
  • (1)で得られた圧力分布を入力条件として、構造解析を行いました。
  •  構造解析では、使用する材料情報、固定箇所を指定する拘束条件、力の大きさや方向などを指定する負荷条件などを解析条件として設定します。線形構造解析のソフトウェアである、Solid Edge Simulation Advancedでは、材料情報としてヤング率、密度、ポアソン比を設定します。今回の解析では、設置用金具にSS400を想定した材料情報を設定しました。固定箇所は、図1(c)に示す固定穴4か所の穴縁に対して、並進3方向の拘束をしました。カメラと設置用金具の接続部は、接続部の穴付近を剛体結合で拘束しました。
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  • ■ 解析結果
  •  図2に流体解析から得られた圧力分布、図3(a)及び(b)に構造解析から得られたフォン・ミーゼス応力の分布を示します。フォンミーゼス応力は、延性材料の強度評価に使用される応力値で、使われる材料の引張応力や降伏応力と比較します。今回の解析では、最も応力が高い部分で26MPaとなっており、設置用金具の材料であるSS400の降伏応力245MPaよりも十分に低い値であるため、強度は十分であるという結果になりました。
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  • 20230915-5-2.jpg
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  • ■ 数値解析を有効活用するためのポイント
  •  数値解析を有効活用するためには、結果の妥当性検証と、目的に応じて解析条件や解析モデルを使い分けることがポイントとなります。  数値解析は、計算に必要な条件が設定できていれば、何らかの解が得られます。ただし、その解が評価したい現象を再現できて、妥当な結果が得られているかについて、十分な検証が必要です。この検証では、評価したい現象を扱える解析ソフトを選んでいるか、解析ソフトを正確に使えているか、解析条件の設定は妥当かなど、様々な視点から検証を行います。  また、製品開発で数値解析を活用する場合、構想設計段階と詳細設計段階では、解析の目的が異なります。構想設計段階では、複数の設計案同士の相対比較を行い、優劣を決定することが目的となります。この場合、解析条件の詳細を詰めるよりも、解析条件やモデルの簡略化を行い、解析条件の設定の手間や計算時間の削減を重視した方がよい場合があります。一方で、詳細設計段階では、実際の使用条件や実験して得られる性能の予測が目的となるため、十分な妥当性検証を行った解析モデルと条件を用いて解析することが求められます。
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  • ■ おわりに
  •  今回の事例で使用した三次元CADシステムは、依頼試験として御利用いただくことが可能です。また、解析の基本的な進め方や、数値解析を有効に活用するポイントなどについて、座学と実習を通じて学んでいただける、解析・シミュレーション研修会を今年度も開催します。お気軽に御相談ください。
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  • ■ 機器の紹介ページURL
  •  三次元CADシステム
  • https://www.itc.city.hiroshima.jp/setsubikiki/setsubikiki-6/6-4.html
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  • ■ 問合せ先
  • 工業技術センター システム技術室
  • TEL 082-242-4170(代表)
  • E-mail:kougi@itc.city.hiroshima.jp

 

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