公益財団法人広島市産業振興センター広島市中小企業支援センター

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登録専門家によるこれが私の支援事例!(3)

広島市産業振興センターNEWS臨時増刊号
登録専門家によるこれが私の支援事例!(3)
(経営考房 山根 敏宏さんの事例)

山根 敏宏さん
山根 敏宏さん
 今回、事例紹介させて頂くのは西区中広に立地する街の小さな電気屋さん(年商1~2億円・従業員6名)、有限会社伸陽電化設備です。私が広島市中小企業支援センターの依頼を受けて初めて同社を訪れたのは今から10年前、前年銀行を辞めて脱サラ開業した私自身にとって、大変思い入れの深い企業です。

(1)資金相談⇒戦略提案【第1期:平成11年~14年】

 当初は、私が元銀行員ということで既存借入の返済に関する相談でスタートしました。当時、同社は多くの同業店や小規模企業がそうであったように、外部環境の急悪化を受けて平成5年をピークに売上の激減が進行する中、内部体制は従前通りの"経験"と"勘"に基づく経営を続けており、全く環境変化に対応し切れていないという印象でした。そこで、下の戦略マップを提示し社長夫妻と協議の上、①経営理念「家電製品を通じて地域社会の幸福を」を明示、②事業コンセプト「消防署より速い電気屋です」と、③成長ベクトルに基づく3つの戦略方向性(市場開拓・商品開発・市場創造)を検討しました。また、近未来を予想して、パソコン等の情報家電に疎い体質からの脱却を目指し、共通課題として「データベース訪問活動業態の確立」を掲げて事業展開を図りました。

戦略マップ
戦略マップ
■外部環境(×「脅威」から抜粋) ■内部環境(×「弱み」から抜粋)
業界:低価格化の中,地域家電店シェア低下と淘汰が進行 ヒト:経営陣・社員の意識が共有されず,管理体制も曖昧
顧客:価格以外の細かなニーズに対応しきれていない モノ:旧態然の業種発想(家電販売業・売上至上主義)
競合:大手量販店の市場侵食(進出)と競争激化の進展 カネ:借入過多体質(財務バランス不良),業績の長期下落
立地:後背住宅地と幹線近接の好立地を活かせてない 情報:PC成熟度レベルが低く効果的に活用されていない

(2)経営革新支援⇒新事業展開【第2期:平成15年~20年】

 平成15年のある日、社長から独自の経営計画を作りたいという相談が寄せられ、再び支援センターの職員とともに同社を訪問、その意向を酌んで私は国の経営革新支援法の認定取得を勧めました。約1年間の派遣指導を通じ、①経営革新テーマ「お住まい丸ごと迅速支援サービス体制の構築」の承認取得と、②同時にPCエクセルを活用した財務計画・管理体制の構築を図りつつ社内基盤の格段の向上を目指しました。
 経営革新のヒントは「うちはお客様宅の"玄関先"でなく"座敷"で話が出来るんよ」という社長の何気ない一言でした。ここから同社の「強み」である工事を伴う技術営業を柱に、他業者とネットワークを構築して生涯顧客の囲い込みを企図した新事業(ビル丸ごと事業・家丸ごと事業)等を考案し、県内の同業種では初めて法認定取得を実現しました。

(3)現在⇒将来【第3期:平成21年~∞年】

有限会社伸陽電化設備
有限会社伸陽電化設備
 昨年度で経営革新計画の終了期限が到来し、現在、売上は横這いを維持しつつも利益は着実に向上しつつあります。社長は10年前を振り返り、「あの時、相談していなかったら今はない」と感慨深そうに語ってくれました。実はこの間、社長は新事業の推進に係わる各種資格の勉強に努められたほか、経営面においても中小企業団体や同業者組合の全国大会等の場で自社成功事例の講演を依頼されるなど、他社の模範となる素晴らしい活躍振りで、実際に数年前から県外の地域家電店のご子息を研修社員として受け入れておられます。

岡本社長
岡本社長
 最後に、昨年の経営革新塾(広島商工会議所)での社長スピーチから印象的な一言をご紹介します。「経営者は時間を創る能力を持たなければならない、考える時間をいつ創るかだ。そうすれば、いかに経営環境が厳しくても楽しさが湧いてくる、未来が見えてくる」。従業員にバレないように、朝4時起きして我々と一緒に戦略策定とマネジメント展開に辛苦されてきた社長の重い言葉です。


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