及川久男 氏
オイカワヒサオ
広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科 教授
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・東京芸術大学大学院美術研究科デザイン専攻修士課程修了(芸術学修士)
・現在、広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科 教授
ひろしまグッドデザイン賞の選定も今回で12回目を迎え、今回もたくさんの応募がありました。物づくりの環境は厳しい状況が続いていますが、その中でもデザインを工夫した様々な商品開発がなされており、地元企業の意気込みを十分に感じることができました。また、全体的にデザインレベルの高い商品が多く、審査委員にとっても難しい選考となりましたが、最終的には、デザインを上手に生かした素晴らしい商品を選定することができたと思います。
今後とも優れた商品づくりにチャレンジしていただき、広島から優れたデザインの商品が数多く誕生していくことを期待しています。
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平田圭子 氏
広島工業大学工学系研究科
環境学専攻 准教授
博士(工学)
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・広島生まれ
・東京芸術大学美術研究科 環境造形デザイン専攻修了
・現在、広島工業大学工学系研究科 環境学専攻 准教授
2001年より『ひろしまグッドデザイン賞』の審査員を仰せつかっている。審査の選定基準は、「創造性」、「造形性」、「機能性」、「安全性」、「市場性」、「技術性」の6つの指針によって行われるが、私が審査をするときに重視することは「創造性」である。審査ポイントに"ひろしまらしい"という大切なポイントがあるが、その表裏一体の意味を持つ、広島発進の世界市場への成功は「創造性」無くしては不可能だからである。100%の新規性でなくても部分的にでもその片鱗を見つけたいと思っている。それは、3.11の東日本大震災もしかり、エコロジーやユニバーサルデザインにしても、自然界や社会の出来事などによって価値観が変化してきているのだから、それに即した新しいデザインへのアプローチの仕方が生まれてくるはずだからである。
これは企業側やデザイナーだけのことではなく、審査員自体も"デザイン"の概念を時代に即して変えて評価をしていくことが必要である。商品がつくられていくプロセスにも、まちおこしと係わってできているものや(H17年度パッケージデザイン賞「金持羊羹(かねもちようかん)」)、新しい行為(H15年度プロダクトデザイン賞大賞「カプセル型ヘアカット店舗」)に対してのデザインなどが今までにもあった。今年度も、個で評価するのではなくその組織のコンセプトに基づいた商品群のパッケジーのあり方を評価すべきものや、エコロジーの観点で新しいものと古いものを結びつけるデザインなどがあった。ものづくりのあり方に対するデザインのとらえ方の評価が大切になる。私も、新しい価値観を見落とさないように慎重に商品のデザインの意味を読み取ろうとしている。
既に審査委員会で話されている『ひろしまグッドデザイン賞』受賞企業のその後の売上げ等の評価の明確化や、市民への普及(他薦を増やす)するだけではなく、他県などのグッドデザイン賞との差別化もはかる必要がある。
「空想生活」という、自分たちが欲しいと願う製品をデザインし、予約者を集めて製品化するシステムがあるが、これからは、グッドデザイン賞の評価だけではなく、広島市と広島の企業に、広島市民が参加してグッドデザインになるべき商品を育てていくような方法もあり得るのかもしれない。
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吉川博文 氏
ヨシカワヒロフミ
三菱重工業(株)技術統括本部広島研究所 次長
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・1984年三菱重工業株式会社技術本部広島研究所入社。
・その後、港湾クレーン等の自動運転システムの開発や製鉄機械、交通システムの制御システムの開発等に従事。
デザインによる産業の活性化を目指して設立されたひろしまグッドデザイン賞は、単にデザインとしての良さを競うだけでなく、広島らしさや広島ならではの製品を広くPRする上でも有効な試みと思います。応募された作品も個性的なものが多く、化粧筆や競技用ボール、カープグッズやお菓子のパッケージ等広島らしいものが多いので、今後もこの活動を通じて、広島の活性化にお役に立てればと思います。
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