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広島市産業振興センターNEWS
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   第2回『トレードオフ課題解決のススメ』


 技術振興部長の國司(くにし)です。今回は『トレードオフ課題解決のススメ』と題しまして、紙面を汚させていただきます。
 品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)はQCDと呼ばれ、生産活動における最も重要な要素です。近年、安全(Safety)や環境(Environment)なども生産活動において不可欠な要素として加えられています。下図に示しますように、それぞれの要素はトレードオフ(二律背反)の関係にあり、全ての要素が満足できる状態にするためには、それらの最適なバランスを見出すこと、トレードオフ課題解決が必要となります。

QCDSEのトレードオフ相関図


 それでは、トレードオフ課題解決のプロセスについて、環境とコストの関係を例として挙げて話を進めます。

 低コスト化は収益性の低い中小企業にとって最重要課題ですが、企業の社会的責任(CSR)として環境に対する配慮も重要課題の一つとなっています。ただ、上図に示しますように、一般的には低コスト化と環境配慮はトレードオフの関係にあります。このトレードオフ課題を解決する一つの手法として、マテリアル・フロー・コスト会計(MFCA)という手法があります。

 MFCAは、製造工程における資源やエネルギーのロス('ムダ')を負のコストとして総合的にコスト評価を行うことで、資源効率と経済効率の両立をさせることを目的とした環境管理会計です。つまり、製造工程での'ムダ'を見える化することで最小化し、その結果として、環境配慮と低コスト化の両立が可能になるというものです。

 例えば、'ムダ'の代表である不良品について考えてみますと、不良品をつくることによって、それを廃棄する'ムダ'が発生します。その'ムダ'のコストの内訳を見ますと、原材料、工数、エネルギー、廃棄物処理があります。不良率が0%になれば、これらの'ムダ'のコストもゼロになりますが、不良率を0%にすることが本当に'ムダ'ゼロなのか、環境に優しいのかと言えば、一概にそう言えるとは限りません。切削加工工程において、切削代に十分な余裕を持たせれば、その工程で不良率ゼロは比較的容易に達成できますが、その反面、投入する原材料費はかさむし、加工時間は長くなり、切削くずも多量に発生してしまいます。極端な話をすれば、不良率5%になっても切削代を限界まで小さくした方が、投入する原材料費、加工時間、切削くずの抑制が図れ、製造工程全体で見れば、投入する原材料、エネルギー消費量、廃棄物発生量が少なくなるかもしれません。ここでMFCAを適用すれば、切削代をどのくらいにすればムダが一番少ないかを、コストの見える化で明確にすることが可能になり、ひいては、環境配慮と低コスト化の両立、トレードオフ課題解決が可能になるのです。

 以上、MFCAを例にトレードオフ課題解決ついて簡単に説明しましたが、現在、MFCAに関する知識やスキルを身につけていただけるような研修の企画をしているところです。期待してお待ちいただければと思います。

◆問い合わせ先  技術振興部(広島市工業技術センター内)
TEL 082-242-4170(代表)   E-mail  kougi@itc.city.hiroshima.jp
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