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  2. (101)【マーケティング発想転換】生活者視点から考える事業の"そもそも"

【マーケティング発想転換】

生活者視点から考える事業の"そもそも"(第1回)

赤松 範麿 氏

超成熟市場で陥りがちな発想

「商品の成熟でなく生活の成熟へ」

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

「良い原材料を使って、良い商品を作っているのに、売れません」

「うちの商品の市場はレッドオーシャンで、もう打つ手がないんです」

あちらこちらでこんな声を耳にします。超成熟市場の今、売り場は商品で溢れかえり、"新しいもの"が入る余地は小さくなっているように見えます。企業は、次の一手を、どんな視点から展開すれば良いのでしょうか。

 

この夏、私は、広告代理店 博報堂を退職し、「株式会社そもそも」という珍妙な名前の会社をつくりました。ご相談くださる企業の商品やブランド、サービスの"そもそも"から考えることで、戦略や戦術をたてるお手伝いをしています。会社は変われど、上記のようなお悩みを耳にすることは変わりません。

 

以前には、こんなご相談をいただきました。ハミガキの商品開発の相談です。シェアが何年も下降している某ブランドの担当者から「ハミガキは超成熟市場で、次の一手が全く見えない。しかし、なんとか新しい商品を開発して、シェア1位になりたい。ワークショップでもやって答えを見つけてくれ!」と、いうものでした。

なんとも難しいご相談です。そもそも、心血を注いで開発・販売し、研究に研究を重ねておられるメーカーの方々に、「こうすれば良いのである!」などと言えませんし、私はその解を持っていません。ただ、博報堂で培った生活者発想という視点だけは持っています。

 

"課題は商品にあり!"という前提になっていますが、果たしてそうなのだろうか?と私は考えました。確かに、ハミガキは超成熟市場で商品の品質は高く、課題はなかなか見えません。しかし、生活の中のハミガキを思い返してみると、うちの子は、歯を磨くのが嫌いで、自ら進んでは磨きません。当時勤務していた博報堂では、昼食後に歯を磨く男性社員は、1割にも満たないように感じました(前勤務先の名誉のために書きますと、実際はもっといるかもしれません。あくまで私見です)。虫歯率を見てみても、日本はヨーロッパに比べて高いのです。

 

つまり、商品は成熟しているかもしれないが、ハミガキという行為そのものは成熟していない。そのことが課題なのではないか、と考えました。課題は商品にあると捉えるのか、商品の先にある行為にあると捉えるのかで、戦略は大きく変わります。この発想転換によって、このプロジェクトの論点は、商品のアイデア出しではなく、ハミガキという行為自体をどうやって増やすか?というものになり、ハミガキ行為を促進することが戦略の中心になりました。

 

当たり前の話ですが、人は幸せになることにしかおカネを使いません。生活の課題を解決して、もっと幸せになるために商品を買います。そう考えると、企業が見つけるべき課題は、商品ではなく、生活の中にあると言えます。

 

人を操作して商品を買わせることがマーケティングではありません。

その商品がどんな幸せをもたらしてくれるのか?という「存在意義を世の中に見える化」することがマーケティングではないでしょうか。

 

 

■<講師プロフィール>

 

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

 

大手情報システム会社でシステムエンジニア、アーサー・アンダーセンでコンサルタントの経験を経て、2001年に株式会社博報堂に入社。

「そもそもデザイン推進体」を立ち上げ、クルマ/食品/飲料/化粧品/金融/アパレル/外食/ゼネコン/伝統工芸など、幅広い業界の事業戦略・ブランド戦略・新商品開発などに携わる。
2019年、「株式会社そもそも」を設立。博報堂時代に培った生活者発想の視点と、事業や商品のそもそもの価値を見える化する活動を継続しながら、その企業の存在意義を捉えた経営/事業/ブランド戦略・戦術の立案及び経営改善を行っている。

 

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