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(102)【マーケティング発想転換】生活者視点から考える事業の"そもそも"

【マーケティング発想転換】

生活者視点から考える事業の"そもそも"(第2回)

赤松 範麿 氏

ターゲティングで陥りがちな発想

「人を絞るのではなく価値を絞る」

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

マーケティングを学んだ人の、おそらくほぼ全員が知っているであろう言葉があります。

「ターゲットを明確に絞り込め!」
ターゲットを明確にすることは、マーケティング活動において最重要とされています。
一方で、こんな見方をしてみるとどうでしょうか。

「日本の実用衣料品の『ユニクロ』と、イタリアで生まれたカジュアルなファッションブランド『ディーゼル』とでは、どちらの方がターゲットは明確か?」

こう尋ねると、大半の人が「ディーゼル」と答えます。ところが、売上が大きいのはユニクロの方です。つまり、ターゲットを絞り込むということは、売上規模を小さくしてしまうことにもなりかねない、とも言えるのではないでしょうか。

 

ほとんどの企業は"売上を増やしたい!"と考えています。それにも関わらず、居住地、家族構成、趣味、年収などターゲット像を細かく絞り込みます。細かく絞れば絞るほど、対象となる層は狭まっていきます。

 

では、そもそも、ターゲットを絞り込む意味は何なのでしょうか?絞り込むより、オールターゲットの方が良いという考え方もあるかもしれません。
「マーケティングの大原則である、ターゲティングの意味は無いというのか!?」というお声が聞こえてきそうですが、そうではなく、その意味をこんな風に考えてみるのはいかがでしょう。

 

商品を提案するということは、"その商品が在る生活"を提案することです。それは、"その商品が在れば、こんな幸せな生活を送れる"と、ある生活者を主人公に小説を書くようなものかもしれません。その主人公の心の動きに共感し、「自分もそれを体験したい」と、何万人、何百人という読者が惹きつけられれば、商品の価値が広まってゆくことになるでしょう。

 

もし、様々な主人公が何人も登場する小説を書いたとしたらどうでしょう。小説は、主人公の心の動きを感じることで、その世界に没入できます。それなのに、主人公があまりに多くいたら、「なんとなく面白かった気がするけれど、入り込めなかったな」と思われてしまいそうです。
つまり、ターゲットを絞るのは、その商品の持つ価値(=誰の感情を、どのくらい動かすことができるのか)を見えやすくするためなのではないでしょうか。

 

人の感情を動かすことができるかどうか、これがマーケティングでは大事です。人の感情が動く大きさが、商品の価値の大きさにつながります。主人公(ターゲット)を明確にした方が、生活者の心の動きが見やすくなり、商品の価値も見えやすくなります。
言い換えれば、どれだけターゲットを絞り込んでも、そこでの生活者の感情や価値が見えなければ、意味がありません。

 

みなさんも、自社の商品が、主人公たる生活者の暮らしに新しく在ることで、生活がどう変わり、感情がどのように動くのか? 結果、主人公はどんな幸せを手に入れられるのか?小説仕立てで考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

■<講師プロフィール>

 

株式会社そもそも ファシリテーター

赤松 範麿(あかまつ のりまろ)

 

大手情報システム会社でシステムエンジニア、アーサー・アンダーセンでコンサルタントの経験を経て、2001年に株式会社博報堂に入社。

「そもそもデザイン推進体」を立ち上げ、クルマ/食品/飲料/化粧品/金融/アパレル/外食/ゼネコン/伝統工芸など、幅広い業界の事業戦略・ブランド戦略・新商品開発などに携わる。
2019年、「株式会社そもそも」を設立。博報堂時代に培った生活者発想の視点と、事業や商品のそもそもの価値を見える化する活動を継続しながら、その企業の存在意義を捉えた経営/事業/ブランド戦略・戦術の立案及び経営改善を行っている。

 

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