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(105)中小企業が行う失敗しない「働き方改革」

中小企業が行う失敗しない「働き方改革」(第2回)

 

上田 義博 氏

働き甲斐のある職場づくり

 

 

うえだ社労士・行政書士事務所 代表

上田 義博(うえだ よしひろ)

 

 皆様が各種支援融資や【雇用調整助成金】・【持続化給付金】などの手続きにご苦心されている中で、「何が働き方改革の成功事例だ。」と、お考えになるかも知れません。しかし、以下を参考にしていただくことで、長い目で見れば、中長期的にきっと企業における生産性の向上、ひいては、企業の成長と収益拡大、従業員の幸福度の向上、社会貢献の実現などに繋がるのではないかと考えております。

 

 私は、一昨年度から広島県の「働き方改革実践企業認定制度」の外部視点アドバイザーを拝命しております。その研修会で、東レ経営研究所の研究員で内閣府地域働き方改革支援チーム委員の渥美由喜氏は「働き方改革」への諸施策は、「特効薬ではない、漢方薬だ。」とおっしゃっており、さらに氏は、「中長期的に人口減少が続く以上、①他社が手を出さない人材を活かせる職場になろう。②他社との差別化を図り、労働者に選ばれる企業になろう。③差別化の一つのツールとして、制度も一定程度は有効である。」とおっしゃっておられました。

 
 渥美氏の言葉を常に頭に置きながら、私が外部視点アドバイザーとして合計7企業の取り組みのお手伝いをさせていただいて参りました。その取り組み課程で気づいた点、認定を得られた企業における共通点などをご紹介したいと思います。
 企業文化を変えることの困難さは想像以上です。「長時間労働はするな、有休をもっと取得しろ」とは言うものの、経営者サイド、従業員サイドそれぞれの本音は、「それで経営が成り立つのか?」「そんなことを言われても実際仕事が目の前にあるのに、取引先の都合もあるのに、できるわけが無い。」というのがほとんどの企業でみられる反応です。
 その中で認定を得られた企業に共通していたのが、「やり抜く」という強いトップダウンの存在でした。やはり、企業が変わっていくためにはトップの強い意志による、社内全体のベクトルの一致が必要なのだと思い知った次第です。
 これらを踏まえた上で、認定企業における一般的な取組手順をご紹介いたします。
 まず、①現状を変えていくためにトップの方針を明確にする。②トップによって各部署から委員を選任して「働き方改革委員会」などを組織して内部体制を整備する。③トップの方針に沿って、委員会などが、取組目標を決め実行計画を作成する。④企業の方針、目指す処を、従業員各層及び外部関係者(例えば仕入先・顧客など)に発信する。⑤自社の課題や従業員のニーズに対応する制度を導入する。⑥目標に向けた実行計画の取組を開始する。⑦計画の進展をチェックし、常にPDCAサイクルを回していく。といったものになろうかと考えます。
 企業としての方針や態勢を整えることなく、企業内のベクトルが一致していない中で、それぞれが思い思いの方向に向かって進んでいく「働き方改革」の実施は、企業にとって害にしかならないと私は考えております。

 
 最後に成功企業の取組チャートを図示しておきたいと思います。

 成功企業の取組チャート図 1

成功企業の取組チャート図 2

 

■<講師プロフィール>

 

うえだ社労士・行政書士事務所 代表

上田 義博(うえだ よしひろ)

 

大手製造業を退職後、2016年に行政書士登録。うえだ社労士・行政書士事務所を開業。

広島市中小企業支援センターの登録専門家及び窓口相談員をはじめ、広島働き方改革推進支援センターアドバイザーなどを務めている。

大手製造業で培った経験を活かした、機械工業、金属加工業、建設業などの労務管理全般から、外国人雇用管理全般(特に建設業、機械工業に関する雇用、入国手続きから労務管理まで)を得意としている。

 

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