ものづくり現場における生産性の向上と効率化(第1回)
生産性向上のための3ステップ
株式会社ゼロプラス 代表取締役
大場 正樹(おおば まさき)
- 1.生産性とは
- そもそも「生産性」とは、いったいどんな意味かご存じでしょうか?生産性とは、下図のとおり、付加価値÷総労働投入量で表します。
- では「付加価値」とは、どんな意味でしょうか?
- 付加価値とは、会社が稼ぐ売上から、外部に払う費用(「材料、購入品、消耗品などの仕入」と「外注費」)を引いたもの、つまり【会社の中に残るお金】です。この【会社の中に残るお金】から給料が支払われます。
- 付加価値には様々な定義がありますが、ここでは単純化して、下図のとおりとします。
- 生産性を求める式のもう1つの要因は「総労働投入量」です。総労働投入量は、従業員数や労働時間などです。
- 「総労働投入量」をさらに分析すると、下図のように人の効率×機械の効率×時間で表すことができます。
- ここまでをまとめると、生産性とは「時間あたりの儲け」であり、会社の効率性を測る指標です。
- 2.生産性の向上のための3つのステップ
- 「生産性」について確認したので、本題である生産性向上について考えてみましょう。生産性とは会社の効率性を測る指標でした。生産性向上とは、「より効率よく儲ける」ことを目指すことです。
- 生産性を向上させる方法は、以下の2つしかありません。
- ① 労働投入時間を変えずに付加価値を増やす。
- ② 付加価値額を変えずに労働投入時間を減らす。
- 労働投入時間を削減させる方法は、「人の効率を上げる(作業方法の効率化)」及び「機械の効率向上(機械化・省人化)」に分けられます。
- 生産性向上を目指して活動することは、以下の3つのうちどれか1つ以上の改善を行うことになります。
- 生産性の向上のための3つのステップ
- ① 付加価値率を上げる
- ② 作業方法の効率化
- ③ 機械化・省人化を進める
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- 3.付加価値率を上げる
- 生産性向上を目指す方法として付加価値率を考えます。付加価値を上げるために、仕事量が増えてしまっては労働時間も増加しますので生産性は向上しません。
- 同じ仕事量で付加価値を増やすには、付加価値率を上げる必要があります。
- 付加価値率を上げる方法は、下図のとおり次の2点です
- ① 売値を上げる。
- ② 仕入、外注費を下げる。
- 今回は売値を上げる方法を紹介します。
- 「売値を上げる」そんなことできない!と思われた方が多数なのではないでしょうか。私は、全商品すべてを値上げしようと考えているわけではありません。商品・サービス・顧客別に収支を検討して、1番利益が出ていない商品、サービス、顧客に限定した値上げを提案します。
- 例えば、下図の様に赤字案件となる商品、サービス、顧客を抽出した後、赤字になる新規受注はやめてしまい、適正価格でしか新規受注を受け付けない様にすることも、1つの方策として有効ではないでしょうか。
- また、値上げ交渉においてもできるだけ、タイミングを見計らって「自社でコントロールできない要因が原因で値上げせざるを得ない」という言い訳をつくると交渉がしやすいでしょう。
(最低賃金アップ、働き方改革、増税、公共料金値上げなど)
■<講師プロフィール>
株式会社ゼロプラス 代表取締役
大場 正樹(おおば まさき)
大学卒業後、大手専門商社で14年間、営業、工場管理、海外子会社経営を経験し、製造業を中心とした経営コンサルタントとして2012年に独立。
主に中小製造業を支援する経営コンサルタントとして2014年7月10日に株式会社ゼロプラスを設立。
2020年現在、兵庫県、群馬県、東京都、愛知県、岡山県の5拠点、従業員20名体制で、約700社の中小企業に専門コンサルティングサービスを提供してる。