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(116)中小企業が、SDGsを経営に取り入れるには(第1回)

中小企業が、SDGsを経営に取り入れるには(第1回)

 

中小企業診断士 大橋 功 氏

SDGsに取り組むメリット

  

中小企業診断士 

大橋 功(おおはし いさお)

 SDGs(持続可能な開発目標)は、近年の教育現場における取り組みから若年層(特に10代)を中心に、認知度が高まっています。しかし、中小企業の経営者からはSDGsに取り組むメリットや具体的な方法が分からない、という声がよく聞かれます。

 

 その点で興味深いのは、東京都が都内の企業に対して行ったアンケート調査「都内企業等におけるSDGsの認知度・実態等に関する調査(*1)」です。SDGsで得られた効果として最も多かった回答は「従業員の意識改革(47.1%)」、次いで「競合他社との差別化」、「取引の拡大」と続き、人材(ヒト)や商品・サービス(モノ)等の、経営資源に関する効果が目立ちました。このことからSDGsへの取組みがもたらす効果は、大きく4つと考えられます。

 

  • 効果1ヒト (人材の活性化)
  •  社会的課題の解決につながるSDGs目標に取り組み、その成果が評価されることで、社員は仕事にやりがいを感じます。アンケート回答で多かった「従業員の意識改革」は、この表れでしょう。その結果、社員個人だけでなく組織全体の雰囲気も明るくなり活性化します。
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  • 効果2モノ (新商品・サービス開発)
  •  SDGsに配慮した商品やサービスに対する消費者の関心も高まっています。こうしたトレンドを背景に、SDGsを新商品・サービス開発に活用できるでしょう。食品を例にすれば、フードロス削減や再生エネルギー利用に貢献する商品が考えられます。環境や気候変動への意識の高い消費者が商品のファンになってくれれば、「取引の拡大」につながります。
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  • 効果3カネ (資金調達)
  •  資金調達の環境も中小企業のSDGsへの取組みを支援する方向に動いています。環境省の提唱する「ESG地域金融 (*2)」がその一例です。地域金融機関に対して、環境や社会的課題への企業の取組みを考慮した事業性評価により、融資や本業支援を行うよう求めています。個別金融機関でも、SDGsに取り組む企業に対し融資の金利優遇等を行う例が増えてきました。
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  • 効果4無形資産への効果 (取引関係、企業イメージ)
  •  SDGsは取引関係や企業イメージなどの無形資産にもメリットをもたらします。
  •  特に大企業との取引関係安定化・拡大のためには、SDGsへの取組みが不可欠といえるでしょう。次に企業イメージは「競合他社との差別化」につながり、特に採用に大きく影響します。冒頭でも触れたとおり若年層のSDGs認知度は高く、SDGsを学ぶ学生は今後も増えていく一方ですので、「SDGsに熱心」という企業イメージが定着すれば人材採用の面でも有利です。

 

 SDGsへの取り組みは、すぐに売上や利益につながらないかもしれませんが、ヒト、モノ、カネ、無形資産という経営資源を強化するメリットがあります。また中小企業を取り巻く関係者(ステークホルダー)の間でSDGsへの関心が高まる中、それを積極的に活用するという視点も必要です。

 次回は「どのようにSDGsを経営に取り入れるか」をテーマに、「SDGs経営推進フレームワーク」の考え方をご紹介します。

 

 

 

SDGsへの取り組みがもたらすメリット(まとめ)

SDGsへの取り組みによる企業活動へのメリット(まとめ)

 

 

 


■<講師プロフィール>

 

中小企業診断士(2013年登録)

東京都中小企業診断士協会(城南支部)所属

大橋 功(おおはし いさお)

 

 金融機関を経て通信業界の会社に勤務。

 米国、欧州を中心に海外勤務を通算12年経験、国内外の法人向け融資、海外事業者との提携折衝、事業戦略・計画策定等に幅広く従事。診断士としては新規事業、ビジネスモデル、財務、SDGs等の分野を中心に経営診断や執筆活動を行っている。

 

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