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(117)中小企業が、SDGsを経営に取り入れるには(第2回)

中小企業が、SDGsを経営に取り入れるには(第2回)

 

中小企業診断士 大橋 功 氏

SDGs経営の導入に役立つフレームワークの紹介

  

中小企業診断士 

大橋 功(おおはし いさお)

 SDGsの取組みに関してよく耳にするのは、具体的に何をすればよいのか、どうやって事業と結びつけるのかが分からない、といった悩みです。SDGs経営を導入する際の大きな課題といえるでしょう。筆者を含む診断士グループは、昨年3月に中小企業のSDGs経営推進をテーマに報告書(*1)をまとめましたが、今回はその中で提唱した「SDGs経営推進フレームワーク」をご紹介します。「SDGsを認知しているが導入に至らない中小企業」に向けた直観的で使いやすい導入支援ツールで、全体図は以下のとおりです。

 

20211015-1-1.jpg

 

 A~Eの6つの枠に、自社の強み・経営資源(A)、関連するSDGs目標(B1とB2)、経営・事業戦略(C)、自社の利益向上等につながる効果(D)、地域や社会への貢献(E)を記入することにより、SDGsを取り入れた経営の全体像を可視化できるのが特徴です。フレームワークを作成し以下の点をチェックすることで、導入への一歩を踏み出しやすくなると考えています。

 

  • 自社の強みとSDGs目標を組み合わせた、経営・事業戦略の方向性は明確か?
  • 戦略を進めたときに、地域社会への貢献と自社の成長が両立するか?
  • 自社の強みが、地域社会の課題解決に寄与できる姿を描けるか?
  • SDGs目標やターゲットの認識が、自社の成長につながるか?

 

 フレームワーク図の使い方

 ここでは「自社の経営・事業戦略をSDGsで補強したい中小企業」を例に、フレームワークの使い方を説明します。現在進めている経営や事業に、SDGs目標を取り入れたい企業がこれに該当します。図表1はフレームワーク図作成の具体的な手順をまとめたものです。

 

フレームワーク図の使い方 図表1

 

  • 現在の経営・事業戦略をCに、その達成のために活用できる自社の強みや経営資源をAに、それぞれ記入する。
  • Cの経営・事業戦略によって得られる、自社にとっての成果や効果をDに記入する。
  • 次に、記入したA→C→Dの計画に関して連携または活用できる外部資源(=取引先や提携先等のパートナー)をB2に記入する。B2はSDGsの目標17に該当する。
  • 関連するSDGsの目標1~16を、B1に記入する。なお記載内容は「貧困をなくそう」のようなSDGs目標の表現そのものではなく、自社に当てはまるように意味を解釈して書き直せばよい。
  • B1に記入したSDGs目標に沿って経営や事業を行うと、地域社会の課題解決にどのように貢献できるかをEに記入する。

  • すべての欄を一通り埋めた段階で全体を見渡し、必要な追加・修正を行う。特に、C(=経営・事業戦略)の肉付けや強化を考える。

 

 最初から完璧な全体図を作ろうとせず、SDGs目標と自社の経営資源を考慮しながら、①~⑤の書きやすい箇所から記入してみてください。

報告書(*1)では上記の例のほかに、

  • SDGsを活用する意欲の高い中小企業
  • 自社の強みを意識しながらその活用で悩む中小企業
  • 地域社会の課題を認識し解決への貢献意欲が高い中小企業

など計5つのパターンを想定してフレームワークの使い方を説明していますので、貴社に最もフィットするものを選んでいただければと思います。
 17の目標とそれを細分化した169のターゲットという数字が示すとおり、SDGsの内容は多岐にわたります。まず、自社の活動に関連する部分を探すことから始めてはいかがでしょうか。

【出展】
(*1)『令和元年度「調査・研究事業」中小企業の SDGs 経営推進マニュアルに関する調査研究 報告書』
   令和2年3月 一般社団法人中小企業診断協会

https://www.j-smeca.jp/attach/kenkyu/honbu/r1/sdgs-keieisuisin.pdf

 


■<講師プロフィール>

 

中小企業診断士(2013年登録)

東京都中小企業診断士協会(城南支部)所属

大橋 功(おおはし いさお)

 

 金融機関を経て通信業界の会社に勤務。

 米国、欧州を中心に海外勤務を通算12年経験、国内外の法人向け融資、海外事業者との提携折衝、事業戦略・計画策定等に幅広く従事。診断士としては新規事業、ビジネスモデル、財務、SDGs等の分野を中心に経営診断や執筆活動を行っている。

 

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