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新型コロナウイルスに対する消費者の自粛マインドも徐々に緩和されてきており、5月から売上が回復傾向にある飲食店も多いかと思います。こうした中で、当社の無料経営相談窓口にはアフターコロナに向けて「業態転換」を検討されている経営者様からのご相談が増えております。
今回は「飲食店がアフターコロナでⅤ字回復するため業態転換」をテーマにお話しをさせて頂きます。
■飲食店がアフターコロナの業態転換で成功する為に必要な「マーケットサイズ」という考え方
飲食店がアフターコロナの業態転換で成功する為の重要な考え方に「マーケットサイズ理論」があります。このマーケットサイズ理論は下記の公式から成り立っています。
業態売上=マーケットサイズ×商圏人口×シェア率
このマーケットサイズ理論を構成する3つの要素「マーケットサイズ」「商圏人口」「シェア率」について詳しく解説をしていきます。
①マーケットサイズ マーケットサイズとは「業態市場規模(業態年間消費額)÷日本の総人口」ですので、つまり「国民一人当たりの業態年間消費額」を指します。業態転換においてはこのマーケットサイズを参考に業態を選定していくという考え方が重要です。
参考までに代表的な飲食店の業態マーケットサイズを下記に記載させて頂きます。
【飲食業態のマーケットサイズ】※コロナ禍以前のデータ
この「マーケットサイズ」という考え方を基に業態転換を考えていく際には、下記の2つのポイントが重要となります。
(1)マーケットサイズの大きい業態を選ぶ 例)フランス料理店をイタリアンに変更する (2)既存業態にマーケットサイズを付加する 例)焼肉店が焼肉弁当を開発し、仕出し弁当のマーケットを取り込む
ただここで気を付けなくてはならない事は「マーケットサイズが大きい業態」という事はそれだけ競合店も多いという事です。つまり業態転換を成功させるためには「マーケットサイズが大きい業態をどうやって他店舗と差別化させるか」が重要なのです。
例えばコロナ禍で自宅需要と居酒屋企業等の参入で一気に市場が拡大した「唐揚げ専門店」。このようないわゆる「時流業態」は一時的には時流=ブームによってマーケットサイズが急拡大しますが、参入障壁が低く差別化要素が少ないため、参入企業が一気に増え、かなりのスピードで市場淘汰が進む(元のマーケットサイズに戻る)事になります。
そういった意味でもアフターコロナで中長期的に利益を獲得できる業態を考える上では、先ほどもお伝えした「マーケットサイズが大きい(時流業態ではない)業態をどうやって他店舗と差別化させるか」という考え方が重要になるのです。
②商圏人口 これはその名の通りお店の商圏人口になります。新型コロナウイルスはこの「商圏人口」の考え方についても大きな変化をもたらしました。具体的に言うと、例えば繁華街の出店であればコロナ禍以前は昼間人口(サラリーマンや学生)が多い立地が「良い立地」とされる傾向がありましたが、しかし最近ではテレワークの普及等により「実態としての昼間人口」が減少している商圏ケースも少なくなく、繁華街のど真ん中よりは、繁華街の外れで住宅街を後ろに抱えているような商圏の方が、賃料も安く、持ち帰り需要等も獲得できるため、コロナ禍で財務的打撃を受けた飲食店にとってはビジネスモデルが構築しやすいのです。「繁華街外れ」「小箱(低家賃)」「テイクアウト対応」この3つは、アフターコロナにおける繁華街型業態構築においては、重要なポイントとなります。
③シェア率 ここまでお伝えしてきた「マーケットサイズ」と「商圏人口」の考え方を加味すると
マーケットサイズ×商圏人口=その業態の商圏内の市場規模
となります。ここにさらに自店舗のシェア率をかける事で業態売上を算出する事ができます。このシェア率を高めていくために重要となるのは「QSCの向上」です。シェア率を高めていく為に新規客獲得販促をするという方法もありますが、いくら販売促進で集客をしても、QSCレベルが低ければリピート客を獲得する事ができず、シェア率を高める事はできません。 ※QSCとは Quality:クオリティ(提供する商品の品質) Service:サービス(接客) Cleanliness:クリンリネス(店舗の清潔さやスタッフの身だしなみ)
ぜひ皆様も業態転換をご検討される際の参考にしてみてください。 最後までお読み頂きありがとうございます。
少しでも飲食店経営者のお役に立てていれば幸いです。
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■<講師プロフィール>
株式会社スリーウェルマネジメント 代表取締役 三ツ井 創太郎(みつい そうたろう) 一般社団法人日本フードビジネス経営協会 理事長調理師名簿登録番号 第342944号
2003年全国で60店舗以上展開している企業に入社。料理長、店長を歴任後、業態開発、FC本部構築などを経験。その後、東証一部上場のコンサルティング会社であった株式会社船井総合研究所に入社。 |