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(138)食品事業者が知っておくべき誰でも取り組める「手引書対応のHACCP」(第3回)

食の安全文化を作る経営者の心得

広島惣研株式会社 代表取締役 光藤 清志 先生

広島惣研株式会社 代表取締役
一般社団法人HACCPと経営 代表理事
光藤 清志(みつふじ きよし)


 食品を扱う企業の『安全文化』とは、提供する商品を100%信頼してお召し上がり頂くお客様の信頼に応えることが最も大切な使命と考える経営者の下で形成された、会社の中で共有される考え方や価値基準の体系です。創業以来従業員の方々と一緒に安全な商品を提供してきた歴史(すなわち安全文化)があることは事実ですが、未来の安全文化は、お客様や商品と触れる現場の従業員の方々と共に創造することが大切です。そして、HACCPの成果の1つである「HACCPへの取組みが企業経営の安定・発展につながること」を実現する必要があります。

 成果を出すためのHACCPの導入、換言すると、前例のない新技術や新しい概念の導入には、大きなリスクを伴いますが、大きなプラスを得るチャンスでもあります。何もしなければ何も起きない、変革しなければ何も変わらず企業は成長しません。全ては経営者の心の中にあります。

 

HACCPと企業経営の安定・発展

 経営者は、整備したHACCPを営業活動に活かすことを考えなければいけません。そして、営業担当者は、従業員の努力、HACCP導入のメリット(成果)をお客様に伝えてなければいけません。これにより、HACCP導入のメリットが企業にもたらされます。

【HACCP導入のメリット】

  •  従業員ひとりひとりの意識が変わり、自信が付き生産性が上がります。
  •  HACCPの導入をお客様に伝えることにより、お客様の見る目が変わり、商品の安全 品質・信頼度が上がります。
  •  従業員の意識とお客様の見る目が変わることにより、売上・利益が上がります。

 

安全保障室の設置

 HACCPの成果を出すためには、安全な従業員の商品を作るためのHACCPの維持活動について、その安全度を維持するために従業員が作成した工場巡回チェックの分析データや温度管理データ等の維持管理データと、安全度確認細菌検査データや環境及び手・指清潔度確認データと工場安全度維持状況調査を基に科学的に振り返りをして従業員の会社への貢献度と企業価値観を科学的に証明することを推進する「安全保障室」の設置が望まれます。 この安全保障室の機能を最大限に発揮させ成果を出すために、以下の仕事を担う『安全保障責任者』を置きます。

【安全保障責任者の仕事】

  •  従業員の貢献度を顕彰する。
  •  安全度維持状況を伝える安全情報を従業員にフィードバックする。
  •  企業価値を証明する振り返り情報(安全情報)をマーケットに伝える。
  •  クレームの的確な処理を行う。
  •  安全度確認細菌検査を計画的に実施する。
  •  安全衛生会議を主催する。
  •  従業員対象の安全衛生教育を実施する。
  •  第三者機関(工場安全度振り返りサポート企業、清掃状況振り返りサポート企業、 PCOサポート企業)

 

まとめ  

 HACCPは、経営者の考え方一つで、食品を扱う企業を守る手段になり、また、企業を成長させる武器にもなります。繰り返しになりますが、経営者としてHACCPに取り組む決意表明をして、従業員の方々と共に楽しめるHACCPに取り組み、成果を出すことにチャレンジされることを期待しています。

 

■<執筆者プロフィール>

 

広島惣研株式会社 代表取締役

一般社団法人HACCPと経営 代表理事

光藤 清志(みつふじ きよし)

 

1970年広島大学水畜産学部食品工学科部卒業その後、食品メーカーに入社し企画営業を学ぶ。
1984年に広島市内垂直統合型惣菜企業(フレッシュセブン)の設立計画に参加。
企業成長に必要な危機管理の手法としてHACCPに出会う。
1997年に「ほっかほっか亭」ブランドを運営する株式会社ハークスレイの上場を機会に品質管理室の設立に参加し安全保障担当顧問に就任しHACCPの指導教育を行う。
2019年に「一般社団法人HACCPと経営」を設立し全国的に小規模事業者の特化したHACCP導入をサポートしている。(従業員が楽しめるHACCP)
2020年厚生労働省の依頼で玉子焼き協議会のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手引書の作成指導に参画し手引書を作成する。

 

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