お電話でお問い合わせ
082-278-8032
メールでお問い合わせ

株式会社Career Fine
代表取締役
赤井 宣幸(あかい のぶゆき)
はじめに
『既存人材能力の最大活用』
コロナ禍から経済が回復傾向になる中で、中小製造業においては人材不足が業績に大きな影響を及ぼしています。まさに今、既存従業員の能力を最大限に引き出し、且つ人材の活性化が求められています。企業組織や現場に潜む「ムリ、ムダ、ムラ」、特に「ムリ」は顕在化しにくく見えにくい現場の負担として生産性を妨げる大きな要因となっています。
本コラムでは、実際に大きな効果があった、「ムリ」を可視化し関係部門で共有することで、諦めていた「ムリ」が勝手に解消し、従業員が能力を最大限に発揮できて安心して働き続けられる"魅力ある職場"を実現するための3ステップを解説します。
1.人・モノ・情報+「ムリ」を可視化する
下図は、金型製作メーカーの見積もり業務を可視化した例です。
実際に現場で働く従業員と関係部門のスタッフからヒアリングを行いながら作成したものをベースに、当コラムの解説用にデフォルメしたものです。
ヒアリングの内容を忠実に可視化することを目的にしているので、上司の"あるべき論"や標準作業フローなどは一切考慮していません。
業務上の問題点や気になる点「ムリ」を洗い出しするためのフロー図ですので、他の現場でも応用が可能です。

縦軸が直接部門、横軸が時間を示しています。
黒文字が実際の業務の流れ、赤点線枠内が業務上の問題点や気になる点「ムリ」を詳細に記入していきます。
合わせて、ヒアリング中に思いついた提案を赤線枠内(この時点では実現可否は問わない)に記入しています。
2.「ムリ」から浮き彫りになる「潜在的なムダ」
詳細は第二回で紹介しますが、「ムリ」は人間の感覚(感情)的な要素を多分に含んでいます。目には見えない人間の感覚的なセンサーで認識している「ムリ」を可視化し深掘りすることで、今まで見えていなかった盲点「潜在的なムダ」をあぶり出すことが出来ます。この「潜在的なムダ」こそが、過去に何度も行ってきた効率化活動の失敗要因となっている可能性が高いです。
3.人・モノ・情報+「ムリ」の可視化で得られる7つの効果
| ① | 現場のメンバーからヒアリングを通じて業務の流れを可視化することで、業務の現状を明確化しやすく、第三者が聴くことで上司と部下の関係では出にくい潜在的な問題点が出てくる。同時に対策提案を思いつくことも多い。 |
| ② | 部門間の連携タイミング、時間関係が視覚的に理解できる。 |
| ③ | 部門をまたいだメンバーが参加して可視化を行うことで、製造部など直接部門だけでなく、原材料を仕入れする調達部などの間接部門も生産性向上意識がもてると共に、部門間相互の関わりや影響を理解できる。 (製造現場の1時間の効率化は大変だが、間接部門の1時間は意外と簡単なことが多い) |
| ④ | 業務の自動化、IT化に向けた業務の現状把握にもなり、どこを優先的にIT化するべきか判断をしやすくなる |
| ⑤ | 業務の自動化、IT化を実行する前に事前にムリやムダを排除できる。(ムリやムダまでIT化することを回避する) |
| ⑥ | 仕事の流れと問題点が可視化されることで、メンバー自身が具体的な改善案を考え提案する機会が得られる。(実現することで達成感とモチベーションが向上する) |
| ⑦ | 自分達で発見した問題を自分達が解決(提案の実行)出来ることを経験するなかで、仕事を自分事としてとらえ、自己効力感が上がり自己の成長と定着率向上に繋がる。 |
次回は、従業員が活性化するための業務の可視化に重要な"肝"をお伝えします。
|
■<執筆者プロフィール> 株式会社Career Fine代表取締役 1967年広島県呉市生まれ。大学を卒業後、半導体製造工場で25年間にわたり生産技術部門と品質保証部門に従事。 |