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小さな会社の未来戦略
「地域・人材・AIで切り拓く3つの道」

(第1回) 首都圏と地域の「思い込みギャップ」を超える

川本 真督 氏

株式会社BPL 代表取締役
総務省地域力創造アドバイザー

川本 真督(カワモト マサヨシ


■ 地方の中小企業が直面する3つの壁
地方の中小企業や小規模事業者にとって、人手不足・情報格差・売上停滞は避けて通れない課題です。首都圏と比べ、「スピードも情報も遅れる」「市場が小さい」と感じてしまうのも自然なことかもしれません。ただ、今は首都圏では真似しにくい"地域ならではの価値"とAIを掛け合わせることで、新しい戦略を描ける可能性があると感じています。

■ AIは大企業だけのものではない
AIは大企業だけの特権ではないと思います。むしろ、意思決定が速く、柔軟に動ける小さな会社のほうが、活用の成果を早く実感できるのではないでしょうか。

例えば、広島県廿日市市の老舗旅館・株式会社錦水館(経済産業省:DX認定制度 2024年10月認定取得)は、コロナ禍で客数が激減したことを契機にDXを推進しました。財務データ・POSデータ・宿泊データ(個人情報除く)をGoogle Looker Studioで可視化し、社内で経営状況を共有されています。その結果、スタッフの行動と経営数字のつながりが見えやすくなり、意識の統一につながったそうです。最終的に経常利益が3倍になったという事例もあります。

画像1.png※ イラストはAI(ChatGPT)により生成

■ 小さく始められるAI活用例
こうした事例を聞くと、「自分たちには無理」と感じる方もいるかもしれません。ですが、AI活用は大掛かりな投資から始める必要はなく、小さく試せる方法も多くあります。

・ChatGPTやGeminiなどで、商品説明や企画書のたたき台を作る

・NotebookLMなどで、自社資料や過去データを読み込み、必要な情報をすぐ検索

・Google Looker Studioなどで、日々の売上や在庫を自動可視化 など

これらは月額数千円〜無料で使えるものもあり、専門知識がなくても試せます。少しずつ取り入れることが、やがて大きな成果につながるのではないかと思います。

■ AIと地域資源のかけ算でブランドを作る
これからの時代に大切だと思うのは、AIの成果を「地域固有の価値」と結びつけることです。私が考える「地域固有の価値」とは、「広島ならではの文化」「何十年も受け継がれた技術」「地域に根づく信頼関係」といった現場の物語です。

これらを丁寧に磨き、AIで整理・発信することで、他にはない強みとして育てていけると私は信じています。きっと、どの会社にも素晴らしい価値が眠っているはずです。それを掘り起こし、AIの力でさらに輝かせることが大事ではないでしょうか。

■ まとめ
人手不足や売上停滞を「仕方ない」と諦めるのではなく、AIと地域資源のかけ算で、地域だからこそできる価値づくりに一歩踏み出してみませんか。私もみなさんとともに、これからの時代の生き残りをかけて、挑戦し続けていきたいと思います。


■<執筆者プロフィール>

株式会社BPL 代表取締役
総務省地域力創造アドバイザー

広島県廿日市市出身。
東京大学大学院 修了後、日立製作所に就職。
2012年に広告業として東京で起業。
2013年より、地域活動に興味を持ち、音楽・マルシェイベント"一縁祭"を4年間開催。
2016年 一般社団法人地域ブランドプロデューサー協会の立ち上げ、Uターンを決意。
2017年 地域ブランドとして、廿恋酒をリリースした。
2017年より、商工会議所・商工会などで、専門家活動をスタート、年間50-100回程度の中小企業支援を行う。
2019年から、広島県主催の人材育成事業 を受託し、中山間地域における、未来の担い手づくりも積極的に行っている。
2022年より、総務省 地域力創造アドバイザー就任。

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