公益財団法人広島市産業振興センター広島市中小企業支援センター

閲覧補助
文字サイズ
標準
拡大
検索
お問い合わせ

お電話でお問い合わせ

082-278-8032

メールでお問い合わせ

お問い合わせ

お問い合わせ

お電話でお問い合わせ

082-278-8032

メールでお問い合わせ

お問い合わせ

中小企業が生き延びるための命錢と、どんぶり勘定だから伸びしろいっぱい

(第1回) 命銭経営と経営者という生き方

立石 裕明 専門家

株式会社アテーナソリューション 代表取締役
一般社団法人小規模企業経営支援協会 代表理事
経済産業省中小企業庁 政策ブレーン

立石 裕明(タテイシ ヒロアキ)


 「社長になったら雨が降っても自分の責任だからな。どんな時でも最後の責任は社長と思って生きろ!」

 平成元年26才で事業承継し、36年経った今でも形は変わったが「経営者」という人生を送っている。その礎となった両親の言葉がこれである。
 昭和38年淡路島の温泉旅館の息子として生まれ、温泉旅館街で経営者である両親の背中を見て育った。所謂、商売人のDNAはこの頃から培われたと思っている。
 執筆依頼を頂いたとき、私のような事業に失敗し倒産、破産した者が何を語れるのかといつも、自問自答する。
 ただ、この失敗によって私は生き延びた。失敗によって学ぶことは多く、成功から学ぶこと多くはない。

 少しばかり自分のルーツを語りながら、お題に沿って筆を進めたいと思う。

☆ 経営者という生き方
 〇すべての責任はいつも経営者
 淡路島に橋が架かっていなかった当時、台風や濃霧等の悪天候でキャンセルとなっても、キャンセル料なんてもらえる筈も無く、すべて経営者が負う。あたり前の事。社員の不祥事も然り。経営者人生の基本の基本。

 〇経営者しか味わえない醍醐味
 事業が上手くいくことは最大の喜び。そしてそれは人生の醍醐味とも言える。これがあるから、経営者人生を続けている人は多い。

☆ 倒産、破産で学んだ「命銭経営」
 「あたり前の経営管理」と「家計と事業資金を分けた管理」を実践し、経営者とその家族の命を守ることに主眼をおいた経営のこと。
 すべて最低限の「事業計画書」「経営管理書類」「資金繰り表」「棚卸し」「原価管理」等を行い、「命銭Ⓡ」を確保する経営。
 中退共の中小企業業経営者の積み立て、退職金制度の活用は重要ポイント。

 〇「命銭Ⓡ」とは

 毎月、最低限の経営者給与として30万円(詳細は後述)を確保すること。
 ほとんどの経営者は自分の労働時間と言う概念がない。

 旅館の経営者であり女将である、私の母との会話

 私:「労働時間はどれくらい?」

  母:「朝起きたら仕事。終わったら寝る。その間が労働時間やろ」

 私:「それならいつ休むの?

  母:「今、座って休んでたやろ」

 朝から晩まで仕事して、休みの日も結局なんか仕事している。
 それだけではない。サイレンなったら消防団、夜になったらPTA、地域活動にも参加する。地域と繋がり、それで商売が成り立つ。これも仕事なのである。
 そうすると、どんなに少なく考えても、1日10時間は仕事している。

 概ね1000円(最低賃金時間額を下回ることのない時給)×10時間×30日=30万円程

 これはすべての経営者に死守してもらいたいお金。大学生が夏休みに稼げる金額を下回ってはいけない。
 すべての経営者の方々に、この意識をしっかり持って、最低限の命銭を確保して増やして欲しいと切に願う。

※「命銭」:商標登録第6892229号(T6892229)


■<執筆者プロフィール>

株式会社アテーナソリューション 代表取締役
一般社団法人小規模企業経営支援協会 代表理事
経済産業省中小企業庁 政策ブレーン

1963年  淡路島の温泉旅館の3代目として生まれる。
1988年  広告代理店、専門学校講師を務めた後、故郷・淡路島に戻り、第二創業として家業の温泉旅館を承継する。
1995年  阪神淡路大震災にて被災し自ら事業再生を実体験する。
2004年  事業拡大と株式公開を目指して株式会社アテーナホテルズを設立するも、2011年に自ら倒産を経験。
2011年  兵庫県商工会青年部連合会会長として、「承継・再生」を調査研究した経験から「経営者の気持ちは、経営者でなければわからない」と、自身の震災経験から「被災者の気持ちは、被災しなければわからない」を活かすべく「東日本大震災復興支援プロジェクト」に参画。
2012年  小規模企業振興基本法制定プロジェクトに参画。
以降、「経験を、貢献に。」を信条とし、10年以上経済産業省中小企業庁の政策ブレーンとして活躍している。

OFFCIAL SITE https://www.tateishi-hiroaki.jp/

このページのトップへ