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中小企業が生き延びるための命錢と、どんぶり勘定だから伸びしろいっぱい

(第3回) あの一言が、私のターニングポイントだった

立石 裕明 専門家

株式会社アテーナソリューション 代表取締役
一般社団法人小規模企業経営支援協会 代表理事
経済産業省中小企業庁 政策ブレーン

立石 裕明(タテイシ ヒロアキ)


人生のターニングポイントとして言われた言葉。

【その1】 「終戦直後よりはましだ。何とかなる」
 阪神淡路大震災から数日経った時、瓦礫と化した町を眺めながら母が言ったひとこと。
 31才の若輩経営者として、我が母の言葉の重みに何も言えなかった。
 この、「何とかなる」という言葉はその後の人生においてあらゆる支えとなった。
 どれだけ計画し、準備していても、思った通りにはならないことはおこる。むしろその方が多いとも言える。しかし、だからといって何とかならないのではない。大抵のことは何とかなるのである。
 そして、ふりかえってみると、その方が良い結果になっていることも多い。
 禍福はあざなえる縄のごとし。
 大難が小難。
 どんなに苦しいことでも、この程度で済んでいるから何とかなる。
 この考えで生き延びてきた。

【その2】 「立石君、大丈夫だから」
 震災後、資金が尽きてメイン銀行から300万の融資を断られた。
 どうして良いか分からず、途方に尽きて、会社にも戻れず堤防沿いにクルマを停め缶コーヒー飲みながら考えた。
 そうだ、商工会のS経営指導員に相談しようとひらめいた。
 それまで、経営相談するという発想がなかった。なぜSさんなのか。彼はいつも僕の話を否定せず、笑顔で聴いてくれる人だった。彼なら相談出来ると思った。
 相談に行くと彼は笑顔でひとこと「立石君、大丈夫だから」と言ってくれた。
 この言葉で、生きていけるとおもった。何とかなるとおもった。
 当然、色々教えてもらったことは多い。しかしそれ以上にうれしかったのは、苦しい時はSさんに相談したらいいと思えたことだった。
  相談出来る経営者仲間はいるが、資金繰りの相談はなかなか出来ることではない。特に地域で商売しているとそれはむずかしい。
 経営者には支援者が必要だと痛感した。支援者も主役なのだと。
 小規模基本法、支援法制定時から中小企業庁で言い続けている。その思いが結実した一つが「伴走支援」である。
 国家の中小企業支援施策の一つの柱として、対話と傾聴を重視した伴走支援者を主役そしたのである。経営支援と言う仕事は崇高である。支援者の方々に心から感謝したい。

【その3】 金融機関から「社長、保険金で返済した経営者もいましたね」
 上場失敗が確定となり、倒産、破産というコースを辿りながら苦しい日々が続いていた。
 今では考えにくいし、そもそもこの発言すら出来るはずも無いが、当時の現実。人格否定されることなど、あたり前に言われ続けた。そういう時代。
 この言葉を言われる直前まで、死んで返すのもありか?と脳裏をよぎったことは何度かある。しかし、実際に言われると、死んでたまるか!絶対に生き延びてやる!と強く意識した。
 自分が天邪鬼だとは思っていなかったが、この時ばかりは反骨精神の塊となった。阪神淡路大震災でもなんとか生き延びたこの命、そして家族。  
 家族のために生きていくと決めるきっかけとなった言葉。
 「人は人のためなら頑張れる。」僧侶から頂いた言葉を思い出した。

 平成元年から、失敗の多い経営者人生を送ってきました。今回その人生を振り返り色々書かせて頂きました。
 読者の皆様にとって、私の失敗経験がなんらかのお役に立てれば幸甚です。
 お読みいただきありがとうございました。


■<執筆者プロフィール>

株式会社アテーナソリューション 代表取締役
一般社団法人小規模企業経営支援協会 代表理事
経済産業省中小企業庁 政策ブレーン

1963年  淡路島の温泉旅館の3代目として生まれる。
1988年  広告代理店、専門学校講師を務めた後、故郷・淡路島に戻り、第二創業として家業の温泉旅館を承継する。
1995年  阪神淡路大震災にて被災し自ら事業再生を実体験する。
2004年  事業拡大と株式公開を目指して株式会社アテーナホテルズを設立するも、2011年に自ら倒産を経験。
2011年  兵庫県商工会青年部連合会会長として、「承継・再生」を調査研究した経験から「経営者の気持ちは、経営者でなければわからない」と、自身の震災経験から「被災者の気持ちは、被災しなければわからない」を活かすべく「東日本大震災復興支援プロジェクト」に参画。
2012年  小規模企業振興基本法制定プロジェクトに参画。
以降、「経験を、貢献に。」を信条とし、10年以上経済産業省中小企業庁の政策ブレーンとして活躍している。

OFFCIAL SITE https://www.tateishi-hiroaki.jp/

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