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株式会社オフィス総合研究所 代表取締役
アンザイ株式会社 代表取締役
(公財)広島市産業振興センター
中小企業支援センター 登録専門家・窓口専門員
西原 州康(ニシハラ クニヤス)
私は、2002年に中小企業診断士の資格取得後、広島県、各中小企業支援機関、各商工会等からの依頼で中小企業のコンサルティングに取り組んできました。延べの支援社数は300社を超えると思います。その支援経験によって、改めて「中小企業に必要なものは経営理念である」と確信を得ているので、今回のコラムのテーマとしました。
第1回は、「経営理念とは何か」というテーマで中小企業に必要な経営理念とは何かを具体的に説明します。経営理念の提唱者は数多く存在し、その定義は様々です。近年では、「パーパス(Purpose)経営」が大企業を中心に採用されていますが、私が中小企業の支援で使用し、一番しっくりきているものは、ドラッガーの提唱する「MVV」です。今回は、この経営理念である「MVV」について紹介します。
ドラッガーの「MVV」とは、ミッション、ビジョン、バリューの3つを決めることです。それぞれについて、具体的に説明していきます。
まずはミッション(Mission)ですが、日本語では企業の使命、存在意義となり、「何のためにこの会社は存在するのか」という果たすべき役割を示します。戦国時代に織田信長が提唱した「天下布武」は、「武力によって日本全国を統一し、争いのない平和な世の中をつくる」というミッションでした。このミッション広めることより、沢山の協力者を得ることができ、死後も豊臣秀吉、徳川家康と想いが引き継がれ、江戸時代という泰平の世を構築できたのです。このように、ミッションを社内外に共有することができれば、協力者が増え、想いが引き継がれていくのです。このミッションを掲げている中小企業もありますが、大企業のホームページにあるような綺麗ごとを並べ、想いの無いものが多いです。ミッションについては、社長が一晩中でも熱く語ることができような、想いのこもったものでなければ意味がないと思います。
次にビジョン(Vision)ですが、日本語では企業の理想像、目指す姿となり、ミッションを達成した先に、中長期的に「どのような組織でありたいか」を描きます。私が支援する中小企業では、日々の仕事に追われ将来のことを考えられない経営者がとても多いです。ビジョンの無いままに経営を続けていると、せっかく入社してくれた社員達が、将来が不透明なことに失望してやめていってしまいます。退職者が出ることによって経営者自身も益々忙しくなり、将来のことなど考えられなくなるのです。この負のスパイラルを脱出するためには、しっかり立ち止まって将来のビジョンを考える必要があります。また、中小企業のビジョンは、社長の自身の人生計画とリンクするので、社長の人生計画も一緒に作ることが重要です。
最後にバリュー(Value)ですが、日本語では行動指針、共通の価値観となり、ミッションとビジョンを実現するために、従業員が日々の業務で「大切にすべき基準」です。このバリューを浸透させ成功した企業は、リクルートだと思います。リクルートは、江副元社長が創業当時から「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」と唱えていました。これにより、常にチャレンジする企業文化が醸成され、社員の独立を後押しし(35歳定年説)、独立した社員が元リクとしてリクルートと繋がりながら会社に貢献しています。会社として、これだけは守ってほしいという「価値観」が共有されていれば、社員が主体的に自ら考えて行動ができるようになるのです。常に社長が指示しないと回らない中小企業は、バリューをしっかり決めて共有する必要があります。
これらのミッション、ビジョン、バリューを決めることは、中小企業の経営者にとって大変な作業です。先ほど示したように、想いの無い綺麗ごとの経営理念では意味がありません。この作り方にはコツがあるので、このコツについては、第2回で書かせていただきます。
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■<執筆者プロフィール> 株式会社オフィス総合研究所 代表取締役 西原 州康(ニシハラ クニヤス) 玉川大学工学部経営工学科卒業。株式会社JIEC入社。国際線予約システム開発。 |